ここにいる その4:まめ
4月3日の飯舘村犬猫訪問レポートその4 完結編。
■15軒目 小春の家
なかなか訪れることができていなかった、猫の餌場のあるお宅。
到着すると、ちょうど三毛猫さんがお食事中でした。
「おーい、いまおいしい缶詰あるげるからねー」と声をかけたら、ダッシュで2m逃げられました。
2mというところろが切ないのです。
彼女はおそらく人を知らずに育ってきた子、はじめて会った頃は人を見れば遠くまで走り去っていました。
しかし、この地で生きるうちに人はご飯をくれる存在と知り、怖いんだけれどもほんの少しだけ心を許しはじめている。
彼女の心の変化は生きるためにもたらされたもの…
そんな猫の姿に会う度に、人の住めないこの村が猫たちにとって生きづらい場所であることを突きつけられます。
そして、何度も書きますがこの状況をつくりだしたのは、僕ら人です。
餌場は確実に猫の命をつないでいました。
うまうまウェットを置きましたよー
すぐ戻ってきたw
うまいニャン、ペロリ。
会えてよかった!お腹いっぱい食べてね。
それにしても、個性的な柄の三毛ですね。
■16軒目 クルッポとスミダ
鳩みたいに鳴くからクルッポ
大柄で人なつっこいキジ白男子。
外まで迎えに来ることは少ないのですが、この日はダッシュで出てきてくれましたよ。
そういう時は、だいたいお腹がとても空いているんだよね…ごめんね。
車に乗って催促。ちょいとお待ちくださいな。
スミダも、遠くから催促中。目つきがワルイからプレッシャーだぜ。
必死に食べる。
口が痛そうだけれど、必死に食べる。
彼らの命をつないでいる置き餌は残っていました。
たまにはウェットも食べたいよね。
人が来ることを楽しみにしている彼らとも、再会の約束をしました。
2012年に村に通い始めた頃から知っている彼ら。
彼らはここでずっと生き続けています。
決して短い時間ではありません。
彼らも家の猫と同じように、心や喜怒哀楽をもった存在です。
一体、何を感じて生きてきたのか…
家の猫がもし彼らだったらと想像すると、あまりにも切ない。
■17軒目 まめの家
山肌にはまだ雪が残り、雨雲がかかっています。
まめの姿がなかったので、しばらく山を眺めていました…ひとりで見るととてもさみしくなる風景。
しばらくすると、まめ登場!
呼んだときは出てこなかったのに、何のタイミングででてきたのさw
久しぶりに会えてうれしいうれしい!
とりあえず一杯。
ごちそうさん。
なんだかご機嫌そうだね。元気そうでよかった。
野良猫が通ったので睨むの巻。
人は好きだけど、猫はあまり好きじゃないのよね。
まめが腹やモモに乗ってきましたので、もう本当にしょうがないのでしばらく一緒に過ごしていましたよw
人なつっこいまめ。
飼い主のおじいちゃんが定期的に帰宅して世話をされています。まめはとても愛されています。
村の中では恵まれた猫なのかもしれません。
しかし、そんなまめであっても…いえ、そんなまめだからこそかな、人が訪問するとずっと側を離れません。
なつっこい子にも、なつっこくない子にも、厳しいいまの村。
生きづらさを抱えながら、みんな今日も生きています。
なぜそうまでして生き続けているのか…僕はそのことを度々考えていますが、いまのところ答えはでていません。
しかし、彼らの心に哀しみがあるならばほんのすこしだけでも減らしてあげたい。
それは彼らを訪ねていけばできることだから。
そして、今のところそれくらいしかできることを思いつかないから。
ほんのわずかの時間でも彼らに楽しみや喜びを与えられたなら、彼らが魂に帰った時にほんの少しでも安らかになれるのではないかと信じています。
そうこうしていると、日が落ちてしまうのはいつものこと…
この日はまだあと少しだけ回りたい家があるので、いつもより少しだけ我慢して次へ向かうことにしました。
まめ、またね。
■18軒目 白タヌ茶タヌの家
真っ暗…こわいよー
白タヌ親分と最近になってこの家に戻ってきたというキジ白くん。仲良し!
キジ白くんいい顔してるね。
そうかな…
かわいい三毛もいるのよ。
人が怖いので僕の前では食べません、もうすぐ帰るからあとで食べてね。
キジトラとサビかな三毛かな…
いつもいる尻尾のみじかいキジ白くんを最近見ないな、元気にしているかな。
仲間がいるから少しは寂しくないよね。
みんながんばって生きるんだよ。
■19軒目 GS横
とっぷりと日が暮れました…こわいよー
最後はGS横の餌場にドライとウエットを補充。
猫は姿を見せませんでしたが、ドライは確実に猫が食べたあとがありましたので、あとで食べてね。
これにて、この日の活動を終了しました。
ネ根性の僕にしては19軒は多いほうです…みなさんは、もっとたくさん回っているのにいつもすみませんm(_ _)m
この日は、日比さんがお休みということもあり、猫たちの命をつなぐ給餌台を多く周りました。
いままでにない給餌活動をしてみて見えたのは、人になれていないのに人の運ぶ餌に頼っていきる猫たちの姿。
その多くは飼い猫ではなく、居つき猫です。
もともと飼い主のいなかった猫や村民の避難後に生まれた猫。
彼らは僕が思っているよりも実際にはたくましいのかもしれません、しかし人と距離をおきながらも「ここにいるよ」と自分の存在をアピールする姿は、僕が思っていたよりも弱い存在のように見えました。
おそらく人が餌を運ばなければ、何割かはもうこの世に存在していなかったのだろうと思います。
そして、人のいない村でも行われているTNR(捕獲して、避妊去勢手術をして、元いた場所に戻す)活動の意義も感じました。
TNRをせずに猫が増えるにまかせていたら、死ぬために産まれてくる命が後をたたないのだろうと思います。
本当はすべてを保護できればいいのでしょうが、どこのシェルターにも新たに猫をたくさん受け入れる余裕はありません。
できることをみんながやってきて、いまがあります。
家には飯舘村で保護した4姉弟猫がいます。
姉弟は、先住猫たちと何も違わない(少々態度が大きいけどw)かわいい家猫として暮らしています。
そのことから、被災地出身でも保健所出身でも、そんなことは関係なくみんな等しくかわいい愛おしい命であると断言できます。
猫を飼うときは保護猫を引き取るという選択をする人が増えることが、それが当たり前になることが、いまも生きづらい厳しい環境で暮らしている猫を救うことにつながります。
村の生きづらい環境にいる猫にたくさん会い、彼らは人がつくりだした現実の被害者だと感じました。
人がつくりだした現実であるならば、人が変えていくことができると思います。
繰り返しますが、いまも生きづらい厳しい環境で暮らしている猫たちも自分の家にいる猫と何も違いはありません。
自分の家の猫がその立場にいたらと想像してください。
自分が愛する犬猫を人が住めなくなった土地において避難しなければならなくなったらと想像してください。
[おわり]
■写真展のお知らせ
『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』
会期|2014年 4月23日(水)~6月8日(日)
※会期が延長になりました。
@ ギャラリー・エフ 浅草[HP]
東京都台東区雷門 2-19-18 [地図]
12:00~19:00(最終日は17:00まで)|火曜休
※4月29日はギャラリーとカフェのみ営業
入場無料(犬か猫のフード1品をお持ち寄りください[任意])
※フードのお持ちよりは任意です。フードをお持ち寄りいただかなくても展示はご覧になれます。
村の犬猫にあの子にこれを食べさせてあげたい、そんな気持ちをお持ちいただけましたら、ぜひフードをお持ち寄りください。
自分の犬猫とかわらない存在として、彼らを想っていただけたらうれしく思います。
※フードは飯舘村の犬猫に届けさせていただきます。
[写真展詳細@ギャラリー・エフHP]
[フードについて・ウマいメシお品書き]
▼猫撮るブログ内のお知らせ記事もよろしければご覧ください。
写真展『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』@東京・浅草(4/23~5/26)
最後までご覧いただきありがとうございました。
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