ここにいる その3:里帰り
4月3日の飯舘村犬猫訪問レポートその3です。
■13軒目 小宮のBOXのお宅
はじめて訪れた場所。比較的車通りの多い場所にありながら、ここに猫がいることを今まで知りませんでした。
到着するとすぐさま姿を現した黒猫さん。どうやらなつっこい様子。「にゃーん、にゃーん」と一生懸命鳴きながら近くに寄ってきました。
こんなにかわいい子がここにいたんだね。
缶詰やらドライフードやら水やらをリュックに入れていると、餌場のある牛舎の入口まで先に行って「はやくーはやくー」を鳴き続けます。
ごめんよごめんよ、ちょいと待っておくれよ。
給餌台の餌は空っぽ…
お腹をすかせて必死に鳴いていたんだね…ごめんね。
ウェットを飲み込むようにガツガツと食べ始める。切なくなる。
牛舎の入口の外には、下膨れのキジ白さん。野良猫の目をしているね。
本当は人に近づきたくないのだろうけど目に止まりやすい場所に佇み、自分の存在をアピールしているかのようでした。
この子からも「ここにいるよ」という心の声が届いたような気がしました。
大丈夫、きみの分もちゃんとご飯を置いていきますよ。
ご飯を用意して餌場を離れると、待ちきれないよとばかりにウェットのお皿に駆け寄ったキジ白さん。
お腹空いていたんだね…ごめんね。
彼らの命をつなぐ給餌台。
寂しく映る光景ですが、給餌台の設置を許した住人、給餌台を作り設置したボランティア、ここには今の状況のなかで注げるだけの愛情を、猫に向けてくれている人の暖かさがあることを知ってください。
雨は降り続きます。
枝にしがみつく無数の水滴は、この地で生きようとする命のようにも見えました。
こぼれ落ちそうだけれど踏みとどまり輝き続ける命。
村の犬猫に厳しい環境で生きることを強いているのは人です。人には彼らの命の輝きが失われないように行動する責任があると、僕は考えています。
食後の黒猫さん。
くつろぐ姿を見て、少しだけほっとしました。
必至に生きる彼らにものんびりくつろぐひと時があること、当たり前のことが当たり前ではないこの地では、なにげない猫のしぐさや表情が大きな喜びと感じられることがあります。
しかし、それは単に人がそう感じるだけのこと、猫たちは今の状況を受け入れて(受け入れざるをえない)淡々と毎日を生き抜いているだけなのかもしれません。
敷地内にはイノシシに掘り返された跡が…野生動物の脅威ととなり合わせの地。
なんとかうまく身を守って生き抜いてくださいね、猫のみなさん。
■はやみーの故郷
「はやみー」が飯舘村にいた頃の名前は「みけ」。
猫は大嫌いだけれど、人は大好き。いつも飼い主さんのあとをついて回っていたそうです。
縁あって家ではやみーを預かることになったのが2012年7月。
すでに高齢だったはやみーが野生動物に噛まれて腕に大怪我をしたのがきっかけで、「村にいたままでは生きていけないのではないか」と飼い主さんが心配し、ボランティアに預ける決断をしました。
偶然、村から連れ出すときの搬送をしたのが縁で家で預かることにしました。
今思えば、猫がたくさんいるシェルターでは彼女はきっとうまくやっていけなかったと思うので、家にきて奥さま部屋をほぼ独占して過ごせたのはよかったのだと思います。
そんなはやみーが3月28日に急逝しました。
飼い主さんは度々「みけは元気にしてますかー」と連絡をくれ、いつも猫のことを気にかけていました。
そして、亡くなったことを知らせた時も「今までありがとう。みけに迎えに行けなくてごめんねと伝えてください」と言ってくれました。
はやみーは高齢でしたので、預かったときから家で看取るつもりでいました。
しかし、飼い主さんとはやみーを再会させられなかったことは大きな心残りです。
亡くなってしまったけれどせめて故郷にと、はやみーのお骨の一部を持って村の家に寄らせていただきました。
この日、村に来たかったのははやみーを連れて来たかったから。
「みけー、ごはんだよー」という飼い主さんの声に駆け寄るはやみーの姿が目に浮かびます。
はやみーがかつて歩きまわっていた庭には、たくさんの蕾が。
はやみーがみけとして生きていた場所は、とても美しい場所でした。
また会えたらいいね。
■14軒目 4ワンズ2ニャンのお宅
このお宅も2年前に1度訪れたきりでした。
かつては広い敷地の各所にワンコがつながれており、餌や水の交換だけでもひと苦労でしたが、今は一箇所にワンコが集められて立派な棲家も作られています。
これもボランティアの仕事だそうです…なんてすごいんでしょうね!
よくきたわワンな
ほわわわわぁ
ほわわわわぁ
ニコニコ
ニコニコしていたけど、この黒ワンは少し人見知りで触ることができません…orz
日比さんには慣れているそうなのですが、おかしいな。
おかしくないよ、犬は人を覚えますから。
この白ワンも近づいてくるけど警戒モード…おかしいな。
やさしい声で「ご飯もってきたワン」と話しかけてみたのですが、一歩近づくとあっちに行ってしまいます…
犬は人を覚えますから、ほとんど初対面のような僕を警戒するのは正しいと思います。
満面の笑み!
この子はいけるだろと思いきや…全然いけてない。
犬は人を覚えますから、ほとんど初対面のような僕を警戒するのは正しいと思います。
例外。
ガンガン寄ってきて、ドロドロにされましたw
そして、寄り目がかわいい「クルミ」ちゃんも姿を見せてくれました。
もう少しゆっくりみんなと交流したかったのですが、日が落ち始めてきました。
先を急がねばなりません。
再会を約束して、次のお宅へ向かうことにしました。
[つづく]
■写真展のお知らせ
『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』
会期|2014年 4月23日(水)~6月8日(日)
※会期が延長になりました。
@ ギャラリー・エフ 浅草[HP]
東京都台東区雷門 2-19-18 [地図]
12:00~19:00(最終日は17:00まで)|火曜休
※4月29日はギャラリーとカフェのみ営業
入場無料(犬か猫のフード1品をお持ち寄りください[任意])
※フードのお持ちよりは任意です。フードをお持ち寄りいただかなくても展示はご覧になれます。
村の犬猫にあの子にこれを食べさせてあげたい、そんな気持ちをお持ちいただけましたら、ぜひフードをお持ち寄りください。
自分の犬猫とかわらない存在として、彼らを想っていただけたらうれしく思います。
※フードは飯舘村の犬猫に届けさせていただきます。
[写真展詳細@ギャラリー・エフHP]
[フードについて・ウマいメシお品書き]
▼猫撮るブログ内のお知らせ記事もよろしければご覧ください。
写真展『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』@東京・浅草(4/23~5/26)
最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。
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