哀しみの村 その3

村の風景は時に美しくも哀しくも見えます。
どう見えるのかはおそらく自分の心の映し出しなのだろうと思います。

厳しい冬の終わりに春の気配を感じた日には美しく暖かく、しかし3月18日の風景はとても哀しく映りました。

ただそれは外から村を訪れる僕の勝手な見かたなのだろうと思います。
村民にとっては、避難の日からずっと哀しい風景なのかもしれません。
見えかたや感じ方の違いはあっていいのだと思います、大切なのはそこが村民にとってとても大切な場所であると理解すること。
大切な場所がどんどん壊れていく壊されていく哀しみを知ろうとすることだと思っています。

 

●犬チーズと黒猫チビとロン毛の友達の家

会えばいつでも笑顔になれる黒猫チビと友達のロン毛の黒猫コンビ。
車の音を聞きつけ雪山を越えてやって来ましたよ。

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ずんずんずんずん。
チビ、デカイ。

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チビの猫パンチ!突然なぜなの。

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結局、仲良し。ロン毛さん、チビのことが大好きみたいだね。良い仲間がいてよかったね。
という、ロン毛さんはご近所の飼い猫が住人の避難後にこちらのお宅に居ついたと、帰宅されていたお父さんが教えてくれました。

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犬ご飯を用意するIzumiさんにまとわりつくあいつら。
ロン毛はこれまで触れる距離に来たことがなかったので、少し意外…きっと食いしん坊なんだね。
生き延びるためには、食べ物につられて怖れを忘れることもここでは大切なことだからね。

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スリスリされてる、いいな。
ロン毛さんそんなことできるのか、かわいいねぇ。

でも、ロン毛さんがんばってるけど残念、それは犬メシだからねw

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メシィィィィと訴えるあいつら。かわいいねぇ。

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前回チーズに会った時に、「人は来てもすぐに帰ってしまうもの」とわかっているのだろうなと感じましたが、この日も彼はいまの状況をある程度理解しているように見えました。
他の犬に比べて無邪気さが少ないように思えるのです。
きっとこの子はとても賢くて良い子だと思うのです、それゆえに人を困らせないように我慢してるのかな…

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また会いに行くから、がんばるんだよ。
それくらいしか彼にかける言葉は見つかりません。
きっと飼い主さんも同じなのだろうと想像します。
突然、今まで当たり前にあったさまざまを奪い去られ、村民ひとりひとりの意思が尊重される方向に向かっているとは思えない飯舘村。
動くに動けない人。人が動けなければ、救われることのない犬や猫。
・・・次に続ける言葉が浮かんできません。

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猫メシタイム。たまにチラッがかわいいねぇ。何にもしないからゆっくり食べてね。

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チビがちょっと威張ってるから、唐突にロン毛さんのお皿を奪った結果のポジションチェンジ。
でも、決して怒ったりしないロン毛さん。とてもいいコンビ。
ちなみに、こっそりロン毛さんに触ったら、猫パンチが飛んできました…ごめんなさい、きみと仲良くなりたいんだけなんだ、だから勘弁してくださいお願いします。
オレだけ怒られた…

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なんとなく記念撮影的なもの。
ふたりともとってもうれしそうにしていますね。

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残ったご飯を彼らのすみかに移動して扉を閉めると、前回に続いて外の様子をうかがいはじめたチビ、真剣だゼ。

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ここで手を出すと猫パンチが飛んできます。
Izumiさんを実験台に…ごめんなさい。
でもね、チビのパンチは遅いですから大丈夫です。

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新しい技、ハムッ。僕もハムられたい。

会えば笑顔になれるとてもかわいいあいつら。
このかわいさは、家の猫と何も違いません。
そんな子たちが今も人が住めなくなった村に暮らしていること、何度も書きますが原発がある限りあなたやわたしの猫が彼らになるかもしれないこと、彼らになっていたかもしれないことを想像してください。
自分の身に降りかかる問題として考えてもらえたらと思います。
お湯を沸かして発電するために、なぜ人が住めない土地を作ってしまう程のリスクを負う必要があるのでしょうか。
こんな状況になっても誰も責任を取らず、被害を受けた人たちに決して寄り添っているとは思えない現状があることを知ってください。
次も同じことが繰り返されるに違いないと考えてください。

お金をかければかけるほど儲かる仕組みの電力会社、その電力会社からばら撒かれるお金に支配された政治や情報があること。
効果が充分とは思えない目標数値のない除染が、被災者ひとりひとりの意思に関係なく進み続けていること…
この流れを変えるための一歩は、わたしたちひとりひとりが変わることしかないと思います。

 

●蔵らの家

前回会えなかった「蔵ら」。13日に訪れたチーム銀次赤組が会えて無事は確認されたものの、やっぱり自分でも会いたいよー。
日は落ち始めましたが、雪道を歩いた先にある蔵らの家を目指しました。

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一面の銀世界だった風景も、一週一週少しずつ地面が顔をのぞかせはじめていました。
近くの斜面には、おそらく先週見たキツネの姿が。

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残念…この日も蔵らは留守にしていました。
どこか別の暖かい場所で無事に過ごしていてくれるといいのですが。
夜になったら帰ってくるかもしれないと、ウェットフードも置いてきました。
次にいった時は、きっと顔を見せてよね。

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地面に置いた状態で「1.63マイクロシーベルト/時」
発表される数値は地上1mでの測定であったと思いますので、それに沿えばもっと低い数値になります。
東京はだいたい「0.1」前後ですから、いまだに10倍以上の数値が普通に計測されます。
年間の被曝限度1ミリシーベルトを毎時に換算すると「0.23」
まだまだ人が住める放射線量には程遠い状態です。

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白いキャンバスは、そこにあるものを美しく見せてくれます。

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1cmまで被写体に寄れるという武器を持つIzumiさん。
なにやら一生懸命撮ってましたよ、少しだけ見せてもらいましたが素敵な写真が撮れていましたよ。
この撮影の成果は、「浅草・銀次親分日記」に掲載されるはず
3/27公開されました[こちら

 

●サビ3匹と茶トラ+居つき猫の家

前回はじめて訪れ、お父さんにお会いできたお宅。
3度目の3.11 14:46を僕はこのお宅でお話を聞かせていただきながら迎えました。
帰村に向けて再開した切り花の栽培の苦労や辛い胸の内。[前回

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「クラクションを鳴らすと猫が戻ってくるんだぁ」というお父さんの言葉を思い出し実行。
音が違ったらダメなんじゃないか、という予想を覆し猫たちが顔を見せてくれましたよ!
うーん、かわいいなぁ。
茶トラが「アカ」で、鼻筋に茶の入ったサビが「ヒゲ」ちゃん。ふたりとも人見知りです。

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ふさふさなのが「フサ」
めちゃくちゃ好きです、この見た目。でも人見知り。

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ラーメンのどんぶりで豪快に!

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アカとヒゲは、だいぶ人見知りみたいですね。

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ヒゲちゃんは、家の「のりこ」に似ていてかわいい、とてもかわいい。[のりこ最新
そして、アカの人見知りっぷりもかわいいねぇ、チラッ。

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少し離れても、一番手前のお皿からは食べない念の入れようの人見知りーズ。

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唯一なつっこい「タマ」が遅れて登場。猫同士はみんな仲良し。

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飼い猫4匹が勢揃い。
この他に、居つきのキジシロがいます。みんなが食べ終わって、僕らが帰ろうとした頃に姿を見せてくれました。

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タマだけ触れるので、当然触られまくる。

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かわいいねぇ。こんなに小さな足をした子たちが、たくましく生きています。

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哀しみの風景。
前回、切り花の栽培を別の場所で再開した話を聞かせていただきました。
震災前はここで栽培していたのかと思ったら、とても切なくなって撮らずにはいられませんでした。
ビニールは破れ、雪の重みで歪んでしまったハウス。
いまは荒れ果ててしまったこの場所で、かつてはお父さんが笑顔で猫たちに声をかけながら花の栽培をしていたのだろうと思います。
それを想像すると、この風景はあまりにも哀しく映ります。
失われたものの大きさが重くのしかかってきます。

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帰宅する度に、このビニールハウスを目にするお父さんは、一体どんな気持ちでいるのだろうか…
そんなことを思いながら、この日の活動を終了しました。

 

●東京

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東京に戻ると、そこではいつもと変わらない、変わらないけど飯舘村とはまるで違う一日がはじまっていました。

飯舘村から帰ってきた日は、いつも東京になじむのに少し時間がかかります。
福島第一原発が稼働していた頃は、東京に電気が供給されていました。
事故が起こるまで、そんなことさえ意識したことのなかった自分。
しかし、2011.3.11を境に東京の風景がウソっぽく見えて仕方がありません。
お金のため、日々の生活を守るために、誰かの生活を粉々に破壊したまま生きていく意味なんてあるのだろうかと思います。

東京湾ではなく福島や新潟に東京電力の原子力発電所が作られたこと、東京を犠牲にしないようにと遠くに建てられたのだとしたら。
原発の立地地域が利益を得ているかどうかは関係なく、大きなリスクを遠くの誰かに背負わせて自分たちは安全圏にいようとしたこと。
そして、原発事故の被災地を置き去りにしたまま、普段通りの生活を取り戻したかに見える東京。

東京が悲しい街のように思えてなりません。

 

おわり

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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