大雪から10日目の村 その2
雪化粧をした美しい風景に「放射能さえなければ」の言葉を思い出します。
飯舘村の山や森が、かつてのように人々の目を楽しませてくれる日が訪れるのでしょうか。
3軒目 猫の餌場のあるお宅@10:30
敷地への入口には雪の壁が残されたまま。
先週はこの地区に徒歩で入った「けいちゃん」チームが給餌してくれました。
東京から250km以上も離れた村の雪に埋もれたお宅。
この壁の向こうでひっそりと生き続ける猫の存在を知り、その猫のためにこの地を訪れてくれる人がいること。
それはとてつもなく異常なこと、同時に人の優しさを感じさせてくれること。
散らばった鳥の羽は「生きるために殺した」痕跡なのでしょうか。
この地では、むごいという感情は湧いてきません、むしろそこまで必死にならなければ生きられない猫を、抱きしめてあげたくなります。
そしてそのような場所にしてしまったことを申し訳なく思います。
餌場にフードを補給して帰ろうとした時に、ふと写真を撮っていないことに気づき振り返ると。
猫がいました。
これまで何度か訪れていましたが、まだ会ったことのなかった猫。
かわいい。
なんですか、その丸い体とお腹の矢印w
愛敬たっぷりの姿とは裏腹に、必死に生き続ける命。
はじめて彼女の姿を目にして、またひとり友達が増えたような気持ちになります。
愛しの「うた」ちゃん並みのプリケツw
かわいいね。
また会いに来るからね、僕らが帰ったらゆっくりご飯を食べてよね。
4軒目 長ーいスロープを登った先に猫の餌場のあるお宅@10:55
いよいよHさんが給餌の必需品として推奨する「かんじき」の出番です。
これはいて登りまっせー!
あれっ?Izumiさん、「かんじき」は履くものですが…
意外とスイスイ歩いてるなw おかしいな…かんじきいらないのかな?
でも、僕ははきましたよ!
だって、早くはきたかったからw
そして感動!
これをはいただけで、こんなに沈まないのかー。
すごいな「かんじき」!すごいな考えた人!
ズボッてるゼ、ふっふっふっ。
容赦なく追い抜いていくオレ、ろくでなしですw
猫の餌場に先に到着したよだよ。
「かんじき」をはかずに登り切ったのか…すごいと言えばすごいけどさ。
だいたい100mくらいあったでしょうに。
登り切ってからはいてるしw
本人いわく「かんじきをはいた方がいいことに途中で気づいたけど、あきらめきれなかった」
一体、何をあきらめるというんでしょうかw
フード補給完了。
猫の姿なし。
さぁ、「かんじき」をはいて車に戻りますよー!
(撮影:Izumiさん)
意味もなく来た道と違うところを通ります。
まだ、だれも通っていないまっさらな道。
「かんじき」すごい威力だ!
5軒目 シロ(プラッチ)の家@11:35
前回、雪かきのお手伝いをして久しぶりの再会を果たした「シロ(プラッチ)」の家の前を通りかかると、今日もお父さんが帰宅されていました。
あれ以来、母屋へ向かって雪かきを進めてきたそうです。
シロいい顔w
お父さんに会えて、しかも良いお天気。
よかったね!シロ。
「神様の山なんだぁ」とお父さんが教えてくれました。
シロは10年以上、この場所で神様とお父さんに見守られて生きてきました。
おやつムハムハw ご機嫌なシロ。
シロを見つめる、お父さんの優しい目から深い愛情が伝わってきます。
シロの家は、春になったら除染がはじまる予定だそうです。
その時にはシロをシェルターに預けようかなと、お父さんは話されていました。でも、本当はずっと一緒に暮らしたいと思っていることが伝わってきます。
どうすることもできない僕は、ただただ切ない。
シロがもともと係留されていたのは、母屋の裏に広がる広大な農地への入口あたり。
はじめてシロのもとを訪れた時、僕はとても悲しい光景だと感じました。
人のいない家、農地は荒れビニールハウスは骨組みだけになり、殺風景な場所にポツンと取り残されたシロ。
しかし、お父さんと会ってから、僕にはそれは悲しい光景ではなかったことがわかりました。
そこはかつてお父さんが働くそばでのんびりと幸せな時間を過ごしていた場所。
お父さんが愛情を込めて作ってくれた手作りの犬小屋がある場所。
そして、何よりもたくさんの愛情を注がれてきた場所、たくさんの幸せな思い出のある場所。
もちろん、人が住めなくなってからのシロは寂しい時間を重ねているとは思います。
しかし、目に写った光景だけを見て、シロがかわいそうだと判断した僕は間違っていました。
だって、シロはお父さんのことが大好きだから、お父さんを感じられる場所にいられるのが幸せなことなのかもしれないから。
お父さんとシロが一緒に暮らせる日が来ることを、心から願わずにはいられません。
原発やそれを許してきた人や社会に腹が立つ、自分も含めて。
6軒目 公民館前@11:55
前回に続いての訪問。猫の餌場付近が雪かきされていました!
にゃーんと登場したのは、前回に引き続いてのキジトラちゃん。
すでに誰かにご飯をもらったのか、ほかほか銀次メシには口を付けず、ひたすら人になついてきます。
ゴロ~ン&足ピーーン
クルッ!ヘンなかおーw
けりっ
ゴロにゃんゴロにゃん
ほわわわぁ~w かわいいね。
腹モフ1
腹モフ2
なんだよその顔、なんだよその手。かわいいねぇ
こんなにかわいいこと遊んでいると、ここが放射能に汚染された場所だということを忘れてしまいます。
前回も今回も姿を見ることができなかったサビ猫ちゃんは元気にしているのだろうか…
別のカメラでもう一度、
浅草・銀次親分日記「きみに春あれ 2:雪原」[こちら]
浅草・銀次親分日記「きみに春あれ 3:ゆるむ」[こちら]
最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。
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