ヒトのそば(4/8)5:さくら

2014年4月8日の飯舘村犬猫訪問レポートその5(最終話)です。

■13軒目 蔵らの家

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もうここには、「蔵ら」はいません。

4月1日にIzumiさんは、この地で蔵らとともに1時間過ごしました。[その時の様子(Izumiさんのブログ)]
「鼻づまりか胸の音か、ゼェゼェ鳴っている」
「獣の臭いが漂い、横には腹を裂かれたたぬきの死骸が転がっている。思いっきり甘える猫の姿と、周囲の過酷な環境とのギャップ、その異様な光景に、涙が止まらなかった」

人の住まない土地に、人を必要としている蔵らを置いたままにすることができないほどに、気持ちが追い込まれてしまったそうです。

そして、「飼い主さんが了承してくださるなら、蔵らを保護して治療し、丘には戻さず私が引き取りたい」と決心をしてくれました。

蔵らは、この数日前に日比さんの手により動物病院に連れて行ってもらい、治療のため入院しています。
日比さんが飼い主さんと連絡を取り、「かわいがっていたけれど、もう手をかけてあげられないから、お願いします」と里子へ出すことの承諾をもらってくれていました。[その時の様子(日比さんのブログ)]
そして、この日の帰り道に東京へ連れて行くために迎えに行くことになっています。

この時の詳しい経緯については、Izumiさんのブログをご覧ください。[こちら]

 

蔵らはいなくても、まだこの地で生きる猫がいます。
蔵らとともに目撃されることが多かった三毛、その他にも数匹の猫を日比さんは目にしています。

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猫の姿は見えないけれど、猫の食べたあとが残っていましたので、これからもエサの補充は欠かせません。

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2月の大雪で潰れてしまったビニールハウスは、そのままの姿で置き去りにされています。
もう使われることはないのかもしれません。

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人の手の入っていない土地は荒れています。

住人の避難から3年近くが経っても、人のそばにいたいと願っていた蔵らが、ここで生き抜いていたことは彼女の生きる力の強さなのだろうと思います。
しかし、その強さを称えるよりも感謝と謝罪の気持ちを強く感じます。
「生きていてくれてありがとう、そしてごめんなさい」

 

■蔵らのお迎え

ひと山越えて北上、伊達市へ。

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営業時間終了の少し前に蔵らの入院する病院に到着。

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蔵らーー
きみは今日から浅草の「さくら」です。

村で暮らしているときから極度の人なつっこさを見せていたさくらは、病院でも先生や看護師さんにベタベタだったらしいです。
環境の変化のストレスよりも、人のそばにいることの喜びの方がはるかに大きかったみたいです。
いや、まったくたくましい性格だことw

さくらとご対面を待つ間に、体重当てっこをしようということになり、
飼い主のIzumiさんが「4.3kg」、オレは「4.7kg」。
これでも女の子だからと若干軽目に見積もっての数字。

村では一度しか会っていないけれど、大柄女子だったことは覚えていたからさ、家の女子猫の体重など参考にしましてはじき出した数字だったんですけどね…

正解は「4.3kg」。さすが飼い主。

でもね、浅草に来てからのさくらはデカイデカイともっぱらの評判!
最終的にはオレの見積りのほうが近いことになっています押忍!

後日談はさておき、久しぶりに東京まで猫を搬送します。
家の子になった四姉弟とお母さんのうたちゃんも、先日家で亡くなってしまったはやみーも、同じように東京まで連れてきました。
だいたいみんなニャーニャーうるさいのですよ。
なつっこい子は、とくに狭いケージにご不満のようで出せ出せとうるさいことが少なくありません。
うたちゃんもはやみーもうるさかった、懐かしいな。
うたちゃんは連れてきて避妊して、また村に連れて帰ったんだよなぁ…帰りもうるさかったw
はやみーは東京へのふたり旅で情がわき、シェルターに行く予定だったのを家で預からせていただくことにしたんだよなぁ。
思い出にひたるのはやめておきます…ブログの更新が滞っているし。

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道中のさくらは、やはりうるさかったです。しかもハイパー!
車を停めると静かになるので、帰りの東北道は何度も休憩しながらの道中に。
中間地点を過ぎて、さすがに疲れたのかおとなしくなりました。
で、やっと撮れたのがこの写真。
うるさいうえにもぞもぞ動いていたので、暗い車中ではなかなかうまく写真が撮れませんでした。
でも、コチコチに固まって怖がられるよりも、環境の変化をものともしないたくましさに笑い多き道中でした。

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浅草到着。八重桜が迎えてくれました。

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あたらしいお家だよ。
普通、猫は新しい家にくると隠れたりすると思うんだけどね…スリスリかい

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ドテン…ここにきて30分もたってないのに、それかよ。

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さくらの人のそばでの生活が再びはじまりました。

僕は今回のIzumiさんの決断を、とてもうれしく感じました。
たったひとつの命を厳しい環境から脱出させただけに過ぎず、全体の状況を大きく変えるものではありませんが、今村で暮らす猫たちに新しい幸せの形をもたらせる行動だと思うからです。
もちろん飼い主のいる猫は再び飼い主と暮らせるようになるのが一番だと思います。
しかし、一番が叶わない、いつ叶うのか見えない状況の中では、もっとも猫を幸せにできる方法だと思います。

もちろん猫を引き取ることは誰もが簡単にできることではないのかもしれませんし、簡単にやるべきことではないと思います。
しかし、本気になれば多くの人ができることでもあります。

猫を引き取れば人のこれまでの生活が変わります。
あるいは生活を変えてからではないと猫を引き取ることはできないかもしれません。

しかし、飯舘村の猫たちの生活を一変させてしまったのは人です。
人には彼らを幸せにする努力をする必要があるように僕には感じられます。

もちろん、飯舘村の犬猫に限ったことではありません。
他の原発被災地の自治体で保護された犬猫も、原発事故に関係なく各地で保護された犬猫を幸せにすることも同じ意味を持っていると思います。
人の欲や無関心が生み出した原発事故、同じ理由でペットショップでの生体販売がなくならないことが大きな原因となり殺処分の対象となる犬猫が後を絶たないこと…
人の欲や無関心が犬猫を厳しい境遇に追い込んだり、命を処分しているという構造に違いはありません。
そして、被害を受ける犬猫はみんな、本来人とともに暮らせば癒やしを与え生活を豊かにしてくれる愛おしいかわいい存在になる資質を持っているはずです。

犬猫を保護し里親を探している保健所やシェルターから保護犬猫を引き取れば、新たに救うことのできる犬猫の枠ができます。

「自分は微力だから」「自分は現地へは行けないから」
そう感じている方の中に本気で命を守りたいと思っている方がいるのでしたら、一歩踏み込んだ行動ができないかを考えていただけたらうれしく思います。

僕はこの活動を通じて、普通のひとが本気で行動をした結果、命を救ったり守ったりというケースに数多く出会いました。
幸せな未来を、誰かがはいどうぞと提供してくれることはありません。
幸せな未来は、僕らひとりひとりの行動によってつくり出すものだと思っています。

生意気を言いまして、ごめんなさい。

[おわり]

 

■写真展のお知らせ

『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』

会期|2014年 4月23日(水)~6月8日(日)
※会期が延長になりました。
@ ギャラリー・エフ 浅草[HP
東京都台東区雷門 2-19-18 [地図
12:00~19:00(最終日は17:00まで)|火曜休
※水曜日のみ20:00まで
入場無料(犬か猫のフード1品をお持ち寄りください[任意])
※フードのお持ちよりは任意です。フードをお持ち寄りいただかなくても展示はご覧になれます。
村の犬猫にあの子にこれを食べさせてあげたい、そんな気持ちをお持ちいただけましたら、ぜひフードをお持ち寄りください。
自分の犬猫とかわらない存在として、彼らを想っていただけたらうれしく思います。
※フードは飯舘村の犬猫に届けさせていただきます。
写真展詳細@ギャラリー・エフHP
フードについて・ウマいメシお品書き

▼猫撮るブログ内のお知らせ記事もよろしければご覧ください。
写真展『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』@東京・浅草(4/23~5/26)

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最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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  1. 立川えりか

    さくらやん♀猫くださいかわいやつ白ヤトラでもかまいませんへんじまてます、えりかょり(^o^;)

    • nekotoru

      コメントありがとうございます。
      今うちには里親を募集している猫はおりませんので、里親募集サイトをご紹介いたします。
      保護猫が里子に出れば、また新たに保護主さんが猫の保護ができます。不遇な猫を減らすことにつながりますのでご検討ください。
      ・いつでも里親募集
      http://www.satoya-boshu.net/
      ・ペットのおうち
      https://www.pet-home.jp/cats/

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