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3.11の村 その3

この日の朝、日比さんからいただいた宿題
訪問地域をお知らせすると、周辺で昨日給餌に行っていない3軒のお宅をよろしくとお返事をいただきました。
1.ハイジの家(済)
2.蔵らの家(未)
3.ゴンの家の居つき猫(未)

日比さんは、震災後に神戸から福島に移住し毎日のように飯舘村の犬猫の給餌に通っておられる大先輩です。
飯舘村の今を知ることのできるブログは、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。[こちら

また、TimeOutTokyoに、テキストIzumiさん、写真上村にて日比さんの記事を掲載していただいています。
こちらもぜひご覧になってください。
明かりが消えた村–飯舘村の命の記録

さて、まだ宿題が3割3分3厘しか終わっていません…時計の針は14:30を指しています。
日没は17:30。

 

●サビ3匹と茶トラ+居つき猫の家

先日、日比さんに場所だけ教えていただいて、訪問するのははじめてのお宅。
ハイジの家から「蔵ら」の家へ向かう途中にあります。

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最初に迎えてくれたのは、キジシロ男子。
いかにも男子っていう堂々とした丸顔がいいね。

すると、ちょうどこのお宅のお父さんが帰宅されました。
つい最近まで、ボランティアの訪問がなかったとそうですが、見守り隊(村の自警団)からの情報で日比さんが給餌に訪れるようになったそうです。
頻繁に帰宅はされているそうですが、ボランティアの訪問に大変感謝をされていました。

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飼い猫の「タマ」ちゃん。
こちらの飼猫ちゃんたちは、お父さんがクラクションを鳴らすと姿を見せるそうです。
実際に鳴らしてもらったら、タマちゃん来た!かわいい。

ちなみに先程のキジシロ猫は、居つきとのこと。
ひょこっと顔を出していた鼻筋に茶色が入ってる子は「ヒゲ」ちゃん。

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14:46

猫たちがご飯を食べるのを見ながら、お父さんと話をしていました。

この日は、南相馬でのお葬式への参列をすませ、ちょうど村の自宅に立ち寄ったところでした。
亡くなったのは飯舘村から避難していた方。
詳しいお話はお聞きしませんでしたが、最後の3年近くは故郷を離れ避難先で過ごされた方。
無念の想いは少なからずあったことは想像に難くありません。

こちらのお父さんは、原発事故前に生活の糧としていた切り花の栽培を、飯野町で規模を縮小して再開されたそうです。
土地とビニールハウスは村が支援をしてくれたそうですが、それ以外の資材や栽培に必要な水を得るために相当の費用がかかったそうです。
既に出荷までこぎつけたものの、収支は非常に苦しい状況。

村に戻ってきた時に元通りの生活ができるように、他の村民が希望を持てるようにと事業を再開されましたが、ここまでの苦労や厳しい収支に
「村に戻って生活を再建するのも辛いし、かといって今のまま避難生活を続けるのも辛い」
と話されていました。
もともと恩恵を受けていたわけでもない原発が、事故を起こした影響で苦しい状況に置かれ続けています。

放射能の汚染も消えることなく、人々の体をつらぬき続けています。
そして、体だけでなく心もつらぬかれ続けている人々。

3度目の3.11。

それは、今も生き続ける被災された人々にとっては、あの日を思い出し、亡くなられた方たちに想いを馳せるとともに、しかし自分の生活と向きあえばそこにあるのは、先の見えない不安。
不安を抱えながら、いつもと変わらず必死に生きている一日でしかないのかもしれません。

もちろん、人によってこの日をどう捉えるか、今どのような生活を送っているかは様々です。
少なくとも僕は、必死に幸せだった頃を取り戻そうとしている人に寄り添える存在になりたいと思いました。

それが、僕の3回目の3.11 14:46。

 

●「蔵ら」の家

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キツネさん

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雪粉の美しい模様

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ハイジに似ていて、蔵のあるお宅に住んでいるので「クララ(蔵ら)」
かつて、この蔵のあるお宅にはどのような時間が流れていたのだろう…

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残念ながら、蔵らも娘三毛にも会えませんでした。
会いたかったな。
元気な姿をまた見せてね。

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気温が下がり、積もった雪は固く締まり「かんじき」なしでも歩行ができました。
風の音と雪を踏みしめるキュッキュッという音だけしかない世界。

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15:30 お日さまは傾きはじめ、風が冷たくなってきました。

 

●犬チーズと黒猫チビのお宅

お詫び
前回、「ニューヒロイン」とご紹介した黒猫チビですが、オスでした…[前回
お詫びして訂正いたします。

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車の音を聞きつけて、歓迎のワンワンだわん。

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どこか寂しげに映る洋風なチーズ。
寂しげではなく、寂しいんだよね。ごめんね。
ご飯とおやつと、そして少しだけの触れ合い…今の僕にはこれくらいのことしかできなくて、本当に申し訳ない気持ちになります。

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だ、誰だ?

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こちらは居つきのロン毛の黒猫さん、ちょいと人見知りだよ。
僕は、最初の猫の「たぬ」が長毛だったので、実はふさふさ猫が好きなんです。
仲良くなりたいな…なれるかな。

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二匹は仲良し。チビがちょっと威張ってるw この家の飼い猫だから、まぁいいのかな。

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フォトグラファーですが、ピンボケ写真を連発してすみません。
だって、ピンボケのほうが漫画チックなんだもん…チビw

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うーーー、かわいいのう。

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ごちそうさん。

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と見せかけて、もう一回食べるw かわいいでしょ、おもしろいでしょ。

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なんとなくいつも寄り添っている二匹。

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そっちじゃないよ。

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そうそう、こっちだよw
仲良しでいいね!

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帰り際、隙間を残して扉を閉めると、何やら外を偵察しているのチビ。

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バイバイと撫でようとすると、猫パンチ!w
いいのが撮れたよ、ありがとう。

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チーズがすっかりおとなしくなっているので、覗いてみると…
寂しげに座っていました。

人はすぐに帰ってしまうもの。どんなに鳴いても鳴いてもそれを引き止めることはできない。
そんな諦めが伝わってきた気がしました。
ごめんね。本当にごめんね。

 

●親子猫2

親子猫が暮らす家が並ぶ通りへ。
僕は一度もここで猫を見たことがありませんでしたが、車で近づくと茶トラ猫が敷地に入っていく姿が。

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親子猫の一員ではないと思われますが、この猫もまたここで生きる命。

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少し近寄れましたよ。強そうなオス猫だね。人見知りでしたけどね。

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厚い氷。
日中は春の気配が感じられたとはいえ、日が傾き始めればまだまだ冬の空気。
春までもうひと踏ん張り、みんながんばれ。

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ご飯を用意し終わって帰ろうとすると、なんとなく視線を感じました。
はじめて会えた親子猫のなかの一匹。
お母さんなのか子猫なのかはわかりませんが、日比さんのブログで見たことのある子。
寒さをしのげる隠れ家もあるようでした。
みんなは元気にしているのかな、いつかみんなそろって姿を見せてよね。

 

●親子猫1

前回、メシくれ熱視線を送りまくってきた子猫たち、この日も元気な姿を見せてくれました。
もうこのあたりでは暗くなりはじめてしまったし、日比さんからの宿題があと一軒残っていましたので、さすがの僕も少し急ぎましたよ。

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メーシィィィィィの熱視線。

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メーシィィィィィの熱視線

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餌場にドライフードを補充している隙に。
いいよいいよ、お食べなさいな。
空腹もあったと思いますが、ほんの少しだけ距離が縮まったような気がしました。
この子たちとは、本当に仲良くなりたいなぁ。

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敷地内の木に猿。

 

●タロウと猫いっぱいの家

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2段積みかと思っていたけど、3段でした。
まだまだ人の入らない農地には雪が厚く積もっています。
通路は部分的に地面が見えるまでに雪が解けていました。

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タロウ。
前回は通路にいる段階でワンワンと歓迎(or警戒)してくれたタロウですが、この日はおやつをシャキーンと見せるまで沈黙。
暗くて写真は撮れませんでしたが、この前に続きそこそこ仲良くできました。

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なつっこい組入部間近と思われる三毛猫ちゃん。かわいいね。

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いつものなつっこい組。
やはりフライング気味に食べ始めます。
実はこの日、おニューの魔法瓶をデビューさせたのですが、今まで黙っていましたけど蔵らの家で落っことして割ってしまいました…
お湯なし冷メシすまんです。

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茶トラくんの食後の散歩を追跡。

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撮影に付き合ってくれましたよ。かわいいね、ありがとう。

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また会おうねー

あーーー、もう18時…真っ暗直前…

 

●ゴンの家の居つき猫

日比さんからの宿題ラスト、そしてこの日の最後の訪問先。

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到着した時にはもう真っ暗でしたので、餌場の写真は撮っていません。
カメラ持っていくの忘れたわけではありませんよ…
車の鍵を一度落っことしてしまい、3分ほどドキドキの時間を過ごしたことは内緒です。

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この日の活動を終えて、見上げれば猫の目の様なきれいな月。
飯舘村の夜空には、東京の何倍もの星がきらめいています。

この星空の下で、犬や猫たちは今も生きています。
真っ暗な中、身を寄せあって、あるいはひとりで…
明日が暖かな日になりますように。
僕にはどうすることもできない厳しい状況のなかで、たとえ小さくてもうれしいと感じられることがひとつでも多く彼らに訪れますように。

あれから3度目の3月11日に飯館村を訪れて感じたこと。
この地では、この日は特別でもあり、今の日常のなかの特別ではない一日でもあるということ。
他の日と同じように人の営みはないまま時間が流れ、ひっそりと静まり返っていました。
犬猫にとっても、他の日と同じように一回の食事を運び、名前を呼び、撫でてくれる人を待つ時間。
他の日と同じように陽は沈み闇に包まれ、やがて3月12日が訪れます。

4度目の3月11日が、少しでも明るいものになっていますように。
そうできるようにこの一年、行動して生きたい。

 

おわり

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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