雪にうもれた村 その2

「木(仮)」、「林(仮)」、「森(仮)」たちのもとを後にして、村の中心部へ向かおうと道を戻りはじめると、雪かきをしているお父さんの姿を発見。@13:00
シロ(プラッチ)のお父さんだ!Hさんのブログで見てなんとなく顔を覚えていました。
冬は納屋の中にシロを避難させていると聞いていました。
しばらく会っていないシロに会いたい、それにどう見てもお父さんひとりじゃ雪かき終わらないし・・・いや、そりゃ無茶ですよ。

車で村に入れるようになってすぐ駆けつけてきたお父さん「シロの餌あげにきたんだけどな・・・、・・・」
「雪かき手伝います」

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(撮影:Izumiさん)
シロが避難している納屋の入口
シロが閉じ込められて4日目、なんとしてもご飯を食べさせなければ。

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(撮影:Izumiさん)
しかし、ここで大きな問題が・・・

「失敗したなぁー」とお父さん
聞けば、納屋のカギは敷地の奥の方に置いてあるそう。
容赦なく積もった雪が行く手を阻みます。
うっ…
ここはもう、天才こどもスキー使いガールに取りに行ってもらうしかありません。

「いってらっしゃい、がんばってね」
Izumiさんを送り出し、お父さんと僕はひたすら雪かき。

1mくらい積もっている想定で果てしない作業を想像しながらのスタート。

あれっ、意外と早く地面が出てきた!
やったね!
どんな状況でも、小さな喜びを感じること大事。

Izumiさんが戻ってきて、さぁいよいよシロと久しぶりに会えるのか…
いいえ、カギの入ってるところの前も雪が積もっていて扉が開かないからと、雪かき部隊を呼びにきただけでした。

同じ地区を徒歩で回っていたボランティアの「けいちゃん」組が、ちょうど通りかかり情報交換。
こんな日に同じ想いで村に入った人たちに会えるなんて心強い。
そして、「ヒザ歩きだと早く進めますよ」とアドバイスをいただきました。

ヒザ歩きで雪かきその2へ向かう。
ヒザ歩き速い速い!全然ズボッといかない!すごいよ!
けど、モモが痛いよ…筋肉ピクピクしてるよ…でも人が見てるから休めないよ…必死。

そんなこんなで、どれくらい時間がかかったでしょうか。
雪かき2の模様ははしょります。
この間、あまりにも必死で一切写真を撮っていません、そんなオレはフォトグラファーだったはず。
そういうこともある。

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とにかく納屋の中に入れました。
シロよくがんばったね!無事でいてくれました。@13:45

しかし、係留用のロープが絡まってしまい身動きが取れなくなっていました。
いつから絡まってしまっていたのか…
もしかしたら、数日じっと耐えていたのかもしれません。

お父さんに会えて、シロは大喜び!よかったね。

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お父さんとシロ。
この笑顔が見られてだけで、来てよかった。

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雪かき中は写真を撮っていなかったので…雪かきのイメージカット。
無駄にフォトグラファーに戻ったオレ。

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人の力だけではまったく歯がたたないほど延々と続く雪の壁。
それを溶かしてくれる陽射しのありがたさ。
人のちっぽけさを思う、自然の力には抗えない。

 

村の中心部方面へ移動開始@14:05

村の中心部に近づいても、どこも一車線。場所によっては進入できない道も。
役場でトイレをかり、車内で遅めの昼食を食べつつ次の目的地へ。
いまだ犬猫たちの安否確認が進んでいない村の南部を目指します。

しかし、途中の交差点で会った役場の人に話を聞くと、南部へ向かう道はまだ除雪が進んでおらず進入は無理とのこと。
いつ除雪が入るかさえいまだにはっきりしていない状況。
北東の犬たくさん地区への道は通行が可能と聞き、そこに行きたいと思ったもののすでに15:00を回り太陽は傾き始めていました。
雪のない道のりでも40分、除雪されているとはいえ行くだけでも1時間を見なければなりません。
一軒一軒を回るにも普段の何倍も時間がかかります。
行きたいけど行けない…できることをやるしかありません。

 

Hさんが気にかけている親子ねこの家@15:30

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雪原

人の気配を察知して姿を見せる猫。
ドライフードはたくさん残っていたものの、やはりウェットフードは楽しみだよね。
こんな状況でも、人の運ぶご飯を待っていてくれる彼ら。人を嫌いにならないでくれて、ありがとう。
前日訪れたボランティアのかんじきの足あとに、感謝の気持ちが湧き上がります。
僕らが行った一日前は村に入れるのか入れないのかもわからないような状況…
それなのに、人が台無しにしてしまった世界の片隅でひっそりと生きる彼らのために、愛情を惜しげなく注いでくれた人がいること。
涙が出てきます。

また来るからね。

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茶白
屋根からの落雪も重なり敷地には2mほどの雪の壁。

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キジ白

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この日確認できたのは3匹。

 

次のお宅へ向かうため少し開けた場所に車を停めると、Hさんの車がやってきました。
Hさんと、natsumintさん。
natsumintさんは、いてもたってもいられず急遽東京から駆けつけたそう。
こんな日に会えると、やっぱりいつもよりうれしく心強い。
この日は、まだ雪に埋もれたままの地区を徒歩で4時間かけて給餌に回ってこられました。
かんじきやスノーシューが大活躍。
福猫舎(ふくねこや)のお二人「犬班A。」さんと「まるこ」さんも一緒だったとのこと。
「みんなで6軒回るのに4時間もかかっちゃったよ」と話すHさんの笑顔に、限りないやさしさと強い信念を見る。
人の住めなくなった村で、これほどまでに人の心を感じる不思議。

まだこれから別の場所を回るHさんたちと別れ、僕らも次のお宅を目指します。

 

噛む犬タロウと猫10匹以上のお宅へ@16:15

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道路から見た目的地。遠い…
前日訪れた人のかんじきの足跡に勇気をもらい出発。

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日が傾きはじめ少し固くなった雪の表面は、歩きやすくなっていました。
猫かたぬきか、足とあとに雪のつぶが積もりきれいな模様を描き出していました。

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ふと気づくとIzumiさん、だいぶ先を軽快に歩いています。スキー手に持ってるw 速い。
僕は写真を撮ったり、たまにズボッとしてなかなか進みません。

やっと到着@16:25

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タロウ元気。よかった。

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シッポふりふり、おやつを見てソワソワ。
わんわんわんわん、鳴き方は相変わらず怖いんですけど…きみw
でも、威嚇ではなく喜びであることは伝わってきます。
よくがんばってるね。

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猫班Izumi。
これまで近くに寄ってきたことのなかった茶トラと仲良くしてるw
なっこい組入団だね。
ほんの少しこの子の中にあった、人への恐れを消し去ってしまうほどの数日間。
猫たちが閉ざされた村で過ごした時間を想う。
入団おめでとう。これからもっと仲良くしようゼ。

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なっこくない組のベージュさん。この子なりの催促。

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同じくなっこくない組のキジトラ。彼らなりの限界まで近づいてきています。
もうちょっと待ってね。いまほかほか銀次メシ作ってるからね。

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生きるために食べる。
猫は10匹ほどまで確認しました。

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日が落ちかけています。
先を急がねば…しかし、進まない、ズボッ…

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ふと気づけばIzumiさんは、遥かかなたに。
ま、待ってくれよ。

どうしてそんなに雪の上を歩くの速いのでしょうか?と帰りの車中で聞いてみました。
「オレ、ネコのイメージで歩いてるから。重さを上に逃がすイメージ。オレ、ネコ、オレ、ネコって歌いながら歩いてたもん」だそうです、そんなんでうまくいくのか!

現場で教えろ!!

遅れること5分くらい、多分5分くらいだったはず、無事に道路まで帰還。
日没近し、次のお宅へ向かいます。

 

親子ネコのいるもうひとつのお宅へ@17:05

このお宅でやっと7軒目です。
猫が天井から降りる音のみ確認、姿なし。

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人がいなくなったら、しっかり食べるんだよ。

 

さあ、次に目指すのは愛しの「うた」ちゃん。
家の黒白4兄弟のお母さん猫です。

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途中、雪原を自由に歩き回る犬に会いました。
少し離れた場所に住む「クマ」かな?確認できず。

そして、うたちゃんの家@17:50

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敷地内に降り積もった雪。

「うたちゃーーーん」
「うたちゃーーーん」
と呼んでいると、母屋の中から「にゃーん」

「うたーーー」
「にゃーん」

しばらく呼んでいたけど、外には出られないようでした。
飼い主さんが帰宅された形跡あり、家の中にうたちゃんを避難させてくれたようです。
よかったね、うたちゃん。

また会おうね。

あと一軒「ハイジ」とその子たちの家に行きたかったのですが、家に通じる道はまだ除雪されておらず、日没で真っ暗なため歩いて坂道を登るのは危険と判断して断念、この日の活動を終了しました。

 

Hさんによれば、18日の段階で安否の確認できた犬猫は2割弱。翌19日で3割弱。
雪に阻まれ思うように各お宅への訪問がかないません。
除雪が少しずつ進み、飼い主も村に戻り始めています。
20日以降もボランティアが入り、安否確認と給餌活動を続けています。
しかし、22日の段階でもまだ車で入ることのできない閉ざされたままの地域が残っています。
大雪から一週間、まだまだ命の危機に直面している犬猫たちがいます。

原発事故直後、原発から30km以上離れていたために、何の避難区域にもならず国から何の指示もでず、1ヶ月余りの間被曝を強いられ続けた飯舘村の人々。
そこに今でも暮らす犬や猫たち。
一度ほうっておかれた村を、そこで今も生き続ける命を、再びほうったままにするのか。
村から人の営みを奪い去った原因をつくったのは私たち人。
ほんの一握りの人の力ではどうすることもできない問題。

 

日々目の前の生活だけを守ろうとすることは、やがて未来の生活すべてを破壊することにつながる危険すらはらんでいます。
誰かが決めてもたらしてくれる変化などなく、未来はあたなやわたしの選択がつくりだすもの。

自然がひとたび牙を剥けば、ひとたまりもなく押し潰される人の世界。
何ごともなかったかのように星がきらめく夜空を見上げ、宇宙や自然の中に生かされているちっぽけな人の存在を想う。
大地には人がつくりだした原発からの毒物がばらまかれている。
この世界になぜ人は存在しているのか。
ちっぽけな人が、自然のルールを無視してまで生きている意味とはなんなのか。

雪に埋もれた原発災害に苦しむ村を訪れ、そんなことを思いました。

おわり

 

2月17日、18日に飯舘村に入った方々のレポートもぜひご覧ください。

■Izumiさん 浅草・銀次親分日記
「閉ざされた村 1:猫」

■Hさん aihamalteseのブログ
飯舘村訪問日記373 2014/02/17
飯舘村訪問日記374 2014/02/18

■17日に飯舘村入りの「しんちゃん」さん 愛ちゃんのブログ
福島入り32度目  豪雪!!!飯舘村 2/15、16,17

■natsumintさん
①2月18日活動報告

■犬班A。さん 終わりなき日々の向こう側。
ひとつだけの願い。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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  1. 愛ちゃん(静岡飯舘ボランティア)

    記事の紹介をありがとう!!

    何とか餓死はまぬがれましたね…
    みなさんのおかげです

    私達次は15日不妊手術の捕獲にはいります
    妊娠は進みます
    2月は中止になりました がんばります!!

    • nekotoru

      こんにちは。
      いつもお疲れさまです。
      大雪から17日までの「愛ちゃん&しんちゃん」チームの活動に大きな力をいただきました。
      18日に見た「かんじき」の足あとは、今も強く心に残っています。
      ありがとうございます。
      TNRをしていただいているみなさんのご苦労には、いつも頭の下がる思いでいます。
      3月の捕獲がうまくいきますように。がんばってください。

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