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なんとなく(6/24)1:再開

6月24日の飯舘村犬猫訪問レポートです。

6月24日未明、東京浅草を出発。
中一週あけると、ほぼ半月ぶりになるんだね。
「みんな、わたしのこと忘れてるかな…」とIzumiさん。
「会えば思い出すでしょ、みんな」

僕はといえば、今できることを当たり前にやっていこうという決意はしたものの、村の人と犬猫の置かれた状況のあまりの変わらなさ変えられなさに心沈んだ状態から完全には脱しないまま。
心から村に行きたい、村の犬猫に会いたいという前向きな感情が湧き出てくることもなく、しかし人の罪を考えれば自分の感情なんてへのようなものと言い聞かせ…とりあえず家を出てきました。
長く続くであろう活動ですから、こんな時もあります。

「東北道と常磐道、どっちがいいですか?」
「えっ、それ私が決めるの」
「はい」
「どっちでもいいけど、じゃぁ常磐道」

何かを決めるのが面倒くさいくらいの精神状態で再開の旅をはじめました。

 

仮眠してから飯舘村へ

今回はなんとなく久しぶりに南部から村へ入ることに。
南部地域を訪れるのは1月28日以来5ヶ月ぶりのことです。

これもなんとなく僕が提案したこと、久しぶりにマメやムクにも会ったほうがいいような気がしたから。

なんとなくだけど心のままに。
なんとなくって僕にとっては直感のようなもの、なんとなくに身を委ねることにしました。
考えるよりもそうしたほうがいい時もあります。

 

■山木屋交差点

久しぶりに会うお馴染みの面々。
人との距離が確実に近くなってます!
僕らが訪れていない間にも、当たり前のように日比さんをはじめとした人たちが彼らにご飯を運んでいました。
その積み重ねがもたらした彼らの変化。
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美人さん?ハンサムくん?どっちだろ。
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給餌台にドライフードを補充しに行くと、以前は近づけなかった三毛猫の「お富士」さんが自分から近づいてきてる、なんてことなの!
「なんだカリカリか…」とすぐにあっちに行ってしまいましたけどね。
人の営みのない庭には雑草が生い茂ります。
もうすぐ4度目の夏がやってきます、毎年繰り返す光景。これが原発被災地の現実。
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ウェットフードを準備するIzumiさんが注目を浴びています。
「はよせんかい」という視線を送るお富士さんは、しばらく見ないうちにだいぶ痩せていました。
何か病気ではなく、老猫の枯れ方ならいいのですが…動きものんびり。
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こんなの以前はあり得ませんでしたよ!
けど、食べ終わった後にこっそり背中を撫でたら逃げられました。
まぁそこまでは人に心を許しませんよね、でも触れただけでも大進歩。
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所定の餌場に移動、ゾロゾロ。
左手前の灰白のおっさん、いい味でてます!
なんとなく「羊男」のイメージです。
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「犬班A。」さん設置の2台目の給餌台も、猫たちの命をつないでいました。
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■GS横

置き餌の残りは半分以下。
おそらく猫以外の野生動物も入っているだろうとのことです。
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日比さんのブログで毎日のように目にする「シロ」
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以前からここで暮らすサビ猫さん
なぜか「ニャーンニャーン」と甘えつつ、たまに「シャァァァァァー」
この子もだいぶ痩せたような気がします。
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「メシメシ」
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カロリーエースとウェットの豪華朝食です。
うーん、満足そうですね…満足そうですよね、ねぇねぇ、満足だよね。
もしかしたらほとんど食べられない日もある猫たちを、満足させることなんてできないのかもしれませんが…
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シロもよく食べます。
カロリーエースを飲み干しa/d缶も。
口が痛そうでかわいそう。
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最近、ここで見かけるようになったというサバ白さん
望遠レンズじゃなかったので、お顔がよく見えませんね。
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2011年4月に「計画的避難区域」に指定されて以来、閉ざされたままの郵便ポスト。
村では郵便物の投函もできなければ、郵便物の配達もありません。

「計画的避難区域」解除後に、再会を予定しております

再会を予定という言葉が虚しく感じられます。
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人の住めない村で、猫たちは今を受け入れ生き続けています。
彼らの状況を変えられるのは人だけ、変えようとしないのもまた人。
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■山裾の小屋

朝、日比さんに「南部から入ります」と伝えると、では「山裾の小屋もお願いします」と返事が。
地図を見ながらはじめて訪れました。
ここは今年に入ってから猫がいることがわかったお宅です。
今でも新たに犬猫のいるお宅が見つかるケースがたまにあります。
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初対面なので若干の警戒モード。
でも、日比さんが頻繁に通っているためか「人は餌をくれる存在」との認識はあるようです。
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「何見てんねん、落ち着かんわ~」と言っていたはずです(笑)
その割にバクバク食べてましたけどね。
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庭の池には睡蓮がきれいな花を咲かせていました。
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薄紅色のハナミズキ
きれいに咲いていました、いつも見てくれる人がいないのに。
人の弱さと自然の強さ
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■白タヌ茶タヌ

住人の姿はなかったものの、玄関が開け放たれていました。
そしてキジ白くん。

「いらっしゃいませ」というよりは「おお、来たのか」的なオーラを放っていましたよ。
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他の子たちもソワソワ
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ドライを補充すると、さっそくキジ白くんがカリカリ。
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「ん!そっちのほうがうまそうだな」
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ウェットフード(Izumiさん作)祭りです。
5猫さまご来店、1猫さまお待ちかねです。
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食後のサービスショット、多分ね。
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■風車の家

以前に子猫を保護したこともあり、その後猫を何度か見かけているお宅。
この日は猫の気配なし。
人の気配もなし当然ながら…
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■長泥ゲート近くのお宅

ここも初めて訪れるお宅です。
日比さんから「南部を回るならゲート手前のお宅もよろしく」と言われたお宅です。
ちなみに「長泥」は、飯舘村で唯一立ち入りが禁止された地区です。村の中ではいちばん原発に近い場所に位置しているため放射能に酷く汚染されました。
地区境にほど近いこのお宅も、長泥地区とそう汚染の度合いは変わりません…

はじめてなので勝手がわからずにいると、ちょうど僕らの車が敷地に入るのを見ていた見まもり隊が後からやってきました。
パトロールしていたのは顔見知りのおじさん「猫の餌場は牛舎の中だぁ」と教えてくれました。
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牛舎は2011年で時を止めたまま。
干からびた牛のフンが残されていました。
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ここに牛がいた証。
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ふと気が付くと…猫が僕を見つめていました。
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とてもかわいい子ですね。
ご飯を置いておいたからね、後でゆっくり食べてね。
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久しぶりに訪れたお宅、はじめていったお宅、会ったことのある猫もはじめて会った猫もずっとこの地で生き続けています。
僕が悶々としていた時間も、そんなことに関係なく彼らは生きることに向き合っています。
もっとシンプルに自分にできることは何かって考えたらいいのかな?
なんとなくそんなことを思いました。

 

つづく

 

■お知らせ

上村雄高写真展『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』のポストカードのネット販売をはじめました。
飯舘村で撮影した犬猫たちのポストカードです。
7枚セットが2種類、各1000円です。
ポストカードは写真展の会場だった「ギャラリー・エフ浅草」と私のネットショップ「猫撮る商店」のみでの扱いです。
よろしければご利用ください。

>>猫撮る商店はこちらよりどうぞ

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最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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