おわりの旅(6/10)1:霧
2014年6月10日の飯舘村犬猫訪問レポートその1です。
6月8日(日)に写真展『Call My Name 原発被災地を生きる犬猫たち』を終えた、翌々日10日の飯舘村訪問。
写真展の会期中にみなさまにお持ち寄りいただいた仁義フードのお届けの最終回。
たくさんのフードのお持ち寄りによるご参加、本当にありがとうございました。
10日までは必ず村に通うと決めていた7週連続の訪問。
この給餌行が写真展までの流れのひとつの締めくくりと考えていました。
前の週あたりから「あまりにも変わらない村や犬猫たちの状況に打ちのめされた」感が過去最高潮に達し、テンションはまるで上がらず…
ほとんど義務感だけで動き出しました。
でもね、最高潮ならあとは下がるだけです。
続けていればいろいろな心境の時があります。
僕の心境に関わらず、村では犬猫たちは今日も生き続けています。
そして、彼らを苦しい境遇に追いやったのは、僕ら人です。それを思えば、自分の心境なんて屁のようなものです。
10日未明に東京を出発。
お天気は雨
普段なら「雨、やだねー」くらいですが、やさぐれている時は「雨、うざい」と吐き捨てます。
この日はそんな感じです。
山側を走る東北道は雨が強く降るのではという情報をいただき、海側の常磐道を選択。
毎回同じ道だと飽きるし、ちょうどいいです。
しかし、茨城県に入ってから霧が発生…こわいよー
霧は何度か経験がありますが、前が見通せないのでどうしてもスピードは抑え気味になります。
なかなか進まない重たい道中では、ネガティブな心のうちを吐き出したり…
同乗のIzumiさんにはいたく同情いたします。
ごめんなさい、ご迷惑をお掛けしました。もうしません、多分ですけど。
高速を降りても霧は晴れず
先が見えない…被災地の人や動物の先も見えない、はぁ。
この日の僕には霧は刺激が強すぎます…心が沈みます。
仮眠してから飯舘村へ。
■給餌ボックス発祥の家
除染が進む地区から活動をスタート
除染作業中のため作業員の方に許可をとり敷地内へ徒歩で進みました。
庭の除染は終了したようで、一面が新しい砂利と土に入れ替えられていました。
しかし、家屋の裏の森は除染前と変わらずに生い茂っています。
こんな光景を見るたびに、心にはモヤモヤと霧がかかります。
人の来訪を察知して白の多い三毛猫さんが姿を見せてくれました。
この子はここで一番なつっこい子。
今までは人に全然寄って来なかったのに、意外にも近くに来た、どうしたんだろ。
そして、白三毛さんがスリスリ、もしかしたら親子なのかもしれませんね。
給餌ボックスのドライフードはギリギリ残っていました。
ここには5匹ほどは猫がいますので、今日補充しなかったらきっと空になっていたでしょう。
来て良かったです。
補充
送電線にはお祭りでもあるかのようなピンクのリボン
僕はこれがとても嫌いです。
スリスリ、メシメシ
ゴロン
かわいい仕草で存在アピール(だと思う)
わかってるよ、きみの分もあるから安心しなよ。
除染の庭でメシ
人がものを食べては行けないレベルの放射線量の地であることを知っていても、この地では僕は猫たちにご飯をあげたいと思う。
これもモヤモヤのひとつ。
敷地すぐ近くのフレコンバッグの山
放射性廃棄物は庭からここに移動しただけ。
そして放射性物質は再び除染した場所にもしていない場所にも等しく降り注ぎます。
これもモヤモヤすること。
原発事故が起こって、村に住めなくなりました。
庭には新しい砂利と土が敷き詰められました。
放射能で汚れたものは敷地の外に運び出してもらったので安心です。
おわり
そんなに簡単に終わるわけのない話。
■キジ親子のお宅
あーかわいい。
どうしてこんなにバランスの悪い良い柄なんだろうね
近づくと逃げてしまう親子ですが、人の運んでくるご飯には寄ってきてくれます。
だからこそ、彼らにやってあげられることがあります。
世界の片隅で、未曾有の環境破壊をもたらした原発事故の被災地の片隅で暮らす猫の親子。
彼らにも幸せに生きる権利はあるはずです。
かわいそう
ではなく、これは僕ら人が彼らに強いていることです。
このお宅から見える放射性廃棄物置き場
行くたびに黒い袋が増えています。
■ゴルゴ親子犬
うめぇ~でしょ。よかったね。
■崩れた蔵のお宅
雨だからかな、猫不在。
■そのお隣
フードはむき出しで置いてあるものの、野生動物に食べ尽くされることもなく残っていました。
補充しておきましたよ。
ここの他に建物内にも餌場がありました、そっちの方が安心して食べられそうですね。
そっちも補充。
ご飯補充しておきましたので、後ほどお食べくださいませ。
人知れず咲いたお花さん
あなたの美しさは僕がしかと記録しました。
除染後に植えられた植物たち
住人はこの地を愛しています。
いったいどんな思いで庭いじりをしたのだろう…
除染でのっぺらぼうにされてしまった農地
「もしここで作物が収穫されたら、あなたはそれを選びますか?食べますか?」
この地で再び人が生活を送るというのは、それくらい難しいことです。
たとえ収穫されたものに含まれる放射性物質の量が国の基準値以下であったとしても、他の汚染の少ない地域で採れたものと並んでいたら…
心の霧は晴れません。
[つづく]
最後までご覧いただきありがとうございました。
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