15/2/21 飯舘村犬猫レポート3:飼い猫

■うたちゃん

米太郎の兄妹「いね」と工務店の「ダイク」を無事に保護。
村を発つ前に、「うた」ちゃんに会いに行きました。
うたちゃんは、2012年に僕が飼い猫にした4姉弟のお母さんです。

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うたちゃんは飼い猫。
飼い主は避難先の仮設住宅でペットの飼育ができません、村の方針です。
飼い猫を村に置いたままにする。
保護団体など避難解除までの預け先を探す。
飼い主と猫が再び村で暮らすための選択肢は限られています。

うたちゃんは、お腹を空かせていました。

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昨夏より、除染作業のピッチが上がりました。
宅地の95%以上と農地や道路の20~30%程度の除染が終わりました。
除染後、放射能レベルは半減します。
しかし、人が住んでいいとされる放射能レベルにはなりません。
そして、村の75%を占める森林の有効な除染方法は見つかっていません。
森林から放射性物質が飛来し、再び放射能レベルが上がる懸念もあります。

多くの村民は土地に根ざし生きてきました。
生業を取り戻すのは簡単ではありません。
猫の寿命は人ほど長くはありません。
放射能汚染が残っていても村に戻りたい、村民の故郷への想いを抜きにすれば、飼い主と猫が原発事故前の暮らしを取り戻す日が来ると考えることさえ危ういと感じます。

黒い袋が山と積まれています、うたちゃんの生活スペースの目と鼻の先には。

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震災、原発事故から4年の月日が流れました。
村に残された犬猫は、原発事故の被害者です。
しかし、同時に放置という別の人災の被害者でもあります。
犬猫の同行避難が許されず、移住のための賠償がない飼い主を、ただ批判するだけでは不公平だし何の解決にもなりません。
「自分は絶対、犬猫を連れて避難する」
口で言うだけは簡単です。
しかし、高濃度の放射能禍で言葉通り実行できる人がどれだけいるか疑問です、自分も含めて。
行政がボタンの掛け違いをし、村の犬猫の今があります。
しかし、それを許しているのは私たちの意識や無行動です。
声を上げる人もひとりなら、無関心な人も関心を持ちつつ現状を許容している人もひとり。
社会で起こっていることは人の総意の現れと僕は考えています。

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大きな犬は無理としても、猫は仮設住宅での飼育を認める。
仮設住宅の近くに犬の係留場所やシェルターをつくる。
犬猫の飼育を前提にした新たな仮設住宅をつくる。
復興住宅の建設を推進する。
移住のための賠償制度をつくる。

動物の命が人の命と等しい社会になれば、行政の判断や予算の使い方は変わってきます。
犬猫への「社会=わたしたち」の目や熱が増えれば増えるほど、行政への影響力は増すはずです。

被災地の動物のために行動する。
被災地の動物を守る人を支援する。
被災地の動物の今を人に伝える。

誰にでもできることがあるはずです。

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被災地に限らず不遇な犬猫が、飼い猫となった姿を見せることも村の飼い主に新しい選択肢を示すことになるかもしれません。
外をさまよっていた野良猫も、人の膝上での生活を謳歌できる。
飼い主が犬猫を手放すという辛い決断をした時、安心して新しい家族に命を託せる土壌を作っておくのも大切です。
村の飼い主も、人のいない家で犬猫が暮らすのに何も感じていないわけではありません。

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村を、被災地を、わたしたちはいつも見ている、応援している。
言動で示し続けるのが、被災した人たちを勇気づけるはずです。

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最近ここに居着いた「うたもどき」にはじめて会いました。
4年近く、存在を認識されることなく生きてきた命です。

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■丘の上ペットクリニック

ダイクといねを連れて郡山市の「丘の上ペットクリニック」へ。
郡山市の被災犬猫シェルター「福猫舎(ふくねこや)」の管理人「犬班A。」さんが懇意にしている病院を紹介してくださいました。

気になる「ウイルス検査」をします。

僕は保護スペースの限られた個人。
FeLV(猫白血病ウイルス)陽性の猫は、里子に出る可能性が低いため連れ帰れません。
もしFeLV陽性だった場合、福猫舎で猫を預かってもらえることになっていました。

捕獲箱から洗濯ネットへ、抵抗するいね。
「渡邊三智子」先生と犬班A。さんが慣れた手つきで作業をしてくださいました。
それもそのはず、被災地で多くの猫を保護してきた犬班A。さんは、毎週のように捕獲箱に入った猫を渡邊先生の元へ連れてきているそうです

犬班A。さん「ここは野戦病院みたいなもんだよ」
渡邊先生「やめてよ、そのイメージ強くなるのやだから。普通の動物病院なのに」

僕はひたすら邪魔しないように離れて写真を撮るのみです。

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◯いね
検便:異常なし
ウイルス検査:FIV陽性 FeLV陰性
ワクチン接種とレボリューション滴下の処置をしました。

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◯ダイク
検便:マンソン裂頭条虫
ウイルス検査:FIV陰性 FeLV陰性
ワクチン接種と駆虫薬接種の処置をしました。
家でレボリューションを滴下しました。

なんと、ダイクが女性であると判明。

は?

「今日の飯舘村では、工務店と呼ばれる餌場に居ついた「ダイク」も保護しました。
女性に相応しい名前を考えます」

命名した僕は恥ずかしくて、間違えていたのをあっさりと公表しました。

「本日保護した飯舘村・工務店のダイク。女性と判明しましたので、「カンナ」ちゃんと改名」

村に頻繁に通うボランティアの「日比」さん案で、女性らしい名前が付き事なきを得ました。

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渡邊先生は、震災前まで原発近くの富岡町で動物病院を開業していました。
先生は被災者です。被災者として生活再建をしながら、被災地の動物に優しい目を向けてくださっています。
ご主人は、福島県動物救護本部(福島県獣医師会)が立ち上げた被災動物の「三春シェルター」の獣医師でもあります。

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カンナさんといねの診察中に、福猫舎のもうひとりの管理人「まるこ」さんも来院されました。
凶暴な保護猫を連れていました。

 

震災から4年経った今も、被災地の動物のために日夜力を尽くす人たちがいます。
現地には、人の手を待っている動物がまだまだ数多取り残されています。
時間の経過と風化は、動物たちを更なる窮地に追いやります。
飼い犬や飼い猫が再び家族と暮らせるように、家族を持たない猫が新しい家族の飼い猫となれるように、ひとつでも多くの手が被災地に差し伸べられることを願っています。
カンナさんといねは、飼い猫になるためのスタートラインに立ちました。
これからの時間は、人が少し力をかせばどうにでも変えていけるのだと思います。

 

生意気なことを多々書きましたが、ご容赦ください。

 

[おわり]

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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