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14/12/30 飯舘村犬猫レポート4:見えないまま

「米太郎」騒動で、更新が遅くなってしまいました。

 

■小春の家

かつて「小春」という名の猫が暮らしていました。
彼女は脇腹に深い傷を負い、この世を去りました。

サビ猫は視線で訴えてきます。
人なれしていない猫が、人を待ちわび距離を縮めざるを得ないほどの生きづらさが、この地にはあります。
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「あんまり近くにこないでね」
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「チョビ」は牛みたい。
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主のような顔をしていますが、いくつかのえさ場を渡り歩いています。
「モゥ、遅いよ、早くメシにしてよモウ」
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悲壮感の欠片もない巨体に口元が緩みますが、ふと視線を落とせば厚い氷が。
逃げ場のない氷点下の夜が、またすぐにやってきます。
生き抜くために必要なものです、彼がまとった脂肪は。
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野生動物の侵入もあったと思いますが、猫たちが完全なる飢えから守られていたことが小さな小さな救いです。

人なつっこいチョビは、いつでも人の側に馴染む子だと思います。
距離をとっているサビちゃんも、人の運ぶご飯への期待を持っています。それは、彼女が人に心を許す可能性に見えます。
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■うたちゃん

この日も会うことができました、愛しの「うた」ちゃんに。
この地ではいつなのかわかりません、命の期限が。
人と野生との境界のない世界です。

「ドジしないわよ、あたし」
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1300を超える夜をひとりで過ごしても、うたちゃんは人への親愛を失わずにいてくれます。
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景色は変わり果てました。
しかし、人が住むには程遠い放射能レベルのままです。
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猫の親愛に人はいかに応えていくべきか改めて考えています。
原発事故からもうすぐ4年になります。
決して短い時間ではありません、猫の生涯にとっても、人が何かをするにも。
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■サロン

猫がたくさん寄り付いているので給餌台が2つ。
野生動物が侵入しずらい最新型の給餌台が投入されているものの、中2日でもエサが空になってしまうこともあります。
ボランティアの前回の訪問から中2日、気になって訪れてみました。
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黙っていてもご飯が出てくると思ってるやつら。 「愛想」という文字はないらしいです、彼らの辞書には。
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もくもくともぐもぐ
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「おれも」くん
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内気だけど愛想あり。
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かわいいとしかいいようがありません。
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■工務店奥(最長アプローチの家)

やっぱりふかふかが気持ちいいよね。
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「おれはふかふかよりうまうまだな」
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「さきにくったったで」
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「ふかくです」
いつも真っ先に出てくる偵察役と呼ばれる茶トラ。
悔しそうにしているのがかわいいです。
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給餌台はうまく機能しているようでした。
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■石材店

ここは給餌台が野生動物に荒らされることとの多い場所。
この日も、空っぽになっていました。
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ハラヘリチロちゃん
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「ごちそうさま」
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いっときは目鼻の汚れが目立っていましたが、きれいな顔とふっくらボディで少しだけ安心させてくれました。
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■小さくらちゃん

小さな足で過酷な環境を生き抜いています。
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アプローチを向いて佇む姿に、「小さくら」ちゃんの心境が見て取れます。
そう感じるのは、彼女に感情移入しすぎなのでしょうか?
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■みーちゃん

どうしても気になって、「みー」ちゃんを訪ねました。
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みーちゃんが求めているのは、「家族」なのか「人のぬくもり」なのか・・・・・・

 

■メェメェとマァマァ

夜の帳が下りると、雪が勢いを増してきました。

縁の下に佇む茶トラを発見。「メェメェ(本名:トラ)」の子供です。
人なれしれいませんが、「ご飯を食べるのはやぶさかではありません」。
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納屋から「マァマァ」。
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「ごちそうさま」
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「冷えますね」
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飼い主さんが、見まもり隊のパトロールで通りかかり声をかけてくれました。
メェメェは家の中と、教えてくれました。
たしかに鳴き声が。

村内に積み上げられた黒い袋は100万個を超えています。
多額の税金で除染が行われても、人が住めるまで放射能レベルの下がった場所とは出会いませんでした。
村の75%を占める森林は手付かずのままです。
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2014年も終わりの時を迎えようとしていました、飯舘村に明るい未来が見えないまま。

 

村では線量計がアラーム音を発し続けます。
近い将来、人が住めるまでに放射能レベルが下がるとは、今のところ思えません。
復興とは人の幸せが戻ることだと思います。
村に取り残された犬猫の問題は、再び飼い主と暮らす、が最良の解決だと思います。
しかし、人の未来は不透明なままです。
正直、村に人の営みが戻るには数十年の時間が必要だろうと考えています。
それは猫と犬の寿命よりも長い時間です。

猫と犬にも幸せになる権利があります。
最良の解決が見えないならば、別の解決策を考えてもいい時期にきているのかもしれません。
あくまでもケース・バイ・ケースですが。

そして、飼い主のいない猫についていえば放置は虐待だと思います。
彼らが野垂れ死んでいくことは、この国の恥です。
そして、彼らもまた幸せになる権利を持っています。

社会で起こっていることは、人の総意の現れだと僕は考えています。
原発被災地で動物に起こっていることは、まさに日本が動物愛護後進国であることを象徴しているのではないでしょうか。
原発被災地に限らず不遇な猫や犬が多いこともまた、同じです。

国が、法律が、行政が、政治家が、ペット業界が、無関心な人が、と嘆いていてもなにも変わりません。
ひとり一人が意識と行動を変えれば、やがて社会は変わります。
おおざっぱに言えば、ペットショップで犬猫を買う人が減り、生体販売をしている店では買い物をしない人が増えれば、やがて不遇な犬猫を生む原因のひとつである生体販売はなくなります。
消費行動は誰にでもできる意思表示です。
声の大きな少数の人がどんなに叫んで動いても、多数が口を閉ざしていれば変化は起こりません。
それが今の日本ではないかと思います。
暗部が表沙汰になりにくい国ですが、問題を知った人から小さくても行動を起こすことが、よりよい国にする第一歩だと思います。

僕は昨年12月に飯舘村の猫の保護譲渡活動をはじめました。
里親さんと僕で、一匹の猫の世界を変えることができました。
初心者の僕にもなんとかできました。
誰にでもできることだと思いました。

『行動しよう恐れるものは何もない』

好きな言葉です。
ちなにみ須藤元気氏の言葉です。

私たちにできることは限られているかもしれません。
しかし、できることは必ずあります、誰にでも。

犬猫の保護譲渡活動をやってみる。
家族を求める犬猫の里親になる。
保護譲渡活動を支援する。

たった一匹の猫の世界しか変えていない僕が、生意気なことを申し上げましたがお許し下さい。

 

[おわり]

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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