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15/2/21 飯舘村犬猫レポート1:いね保護

『飯舘村の猫を一匹ずつ保護する』活動を、昨年12月にはじめました。

2012年に4匹の子猫を引き取った以降は、撮影の傍らの給餌が現地での活動でした。
1年後には犬猫の状況は変わっているだろう。
2年経てば何らかの道筋は見えてくるだろう。
3年あれば・・・・・・

村で活動している人たちは力を尽くしています。
命をつなぐために絶えず行動しています。
多くの命が保護されてもきました。

しかし、ほとんどの犬猫が鼓動が絶えるまで消えないシミのように、人の営みが奪われた家々で当たり前に暮らしています。

行政や村民でない者ができることには限界があります。

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昨年、飯舘村の犬猫の写真展を開催したり、いくつかのメディアに寄稿しましたが、残念ながら僕の力が足りず村の犬猫に大きな貢献はできませんでした。
村の犬猫を知ってもらい、なおかつ彼らが幸せになる道筋を開くのが僕の活動の目的です。

昨年夏ごろ、僕は従来の給餌活動から別のステップに進みました。
もちろん個人が微力であることは百も承知です。
しかし、より自分の特性を活かした活動を考えるようになりました。
カメラマンとして伝える力を強める、そして現状の打開を願うひとりとしてできることを増やす。
まだ大きな成果として目に見えるものとなっていませんが、出版やより積極的な情報発信と、飼い主のいない猫の保護譲渡に取り組んでいます。

猫の保護譲渡には、新しい人の加勢が必要です。
震災直後から活動している団体の保護枠は常に溢れかえっています。
猫の保護譲渡は個人でもできます。
先輩の力を借りながら、初心者の僕も最初の保護猫「ラビ」を無事に卒業させることができました。

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僕が一匹保護すれば、その一匹の世界は変わります。
一人が一匹に手を差し伸べる輪が広がれば、手の数だけ世界が変わります。

そして、僕の取り組みに共感してくれた方から、ありがたい申し出をいただきました。
「村の猫を預かります」

 

2月21日、飯舘村を訪れた僕の目的は2匹の猫の保護。

一匹は1月に保護した「米太郎」の兄弟
もう一匹は、工務店という餌場に居着いている「ダイク」

猫の保護譲渡をやろうと決めたものの、正直気が重いです。
猫の将来に責任を持たなければなりませんから。

 

 

■親子猫東

米太郎の故郷。

一ヶ月前、空腹を抱えた米太郎は、車の音に納屋の二階から顔をのぞかせました。

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一ヶ月後、米太郎は新しい生活にずいぶん慣れた頃でした。

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兄弟の保護を考えたのは、米太郎だけだと不公平だから。

しかし、また人馴れを一からはじめなければなりません。

僕の心は少しばかり曇っていました。

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猫かたぬきか、命の痕跡が刻まれた雪の下は、除染で命ともいえる表土を剥ぎ取られた農地。

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米太郎の兄弟ではない猫が姿を現しました。
ごめん、きみは連れていけないんです。
不公平だけどごめんなさい。
命の選別を避ける事はできません、矛盾だらけですが僕にはどうすることもできません。

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捕獲箱を用意していると、米太郎が顔をのぞかせた同じ場所に白猫が。
猫が姿を見せなければ気が楽なんだけどな・・・・・・
わずかにあった心の曇りが晴れ渡りました。

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この餌場には、多くの白猫が寄り付いています。
昨年、一昨年と白い子猫が生まれています。
どれが親子でどれが兄弟なのかよくわかりません。
おそらく米太郎の母であろう猫も、時折姿を見せています。
白猫ならどの子でも、そう思ってこの日ここを訪れました。

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ほどなくして、捕獲箱の扉が閉まる音がしました。
米太郎につづいてまた猫の意志に関係なく、僕は元の世界への出口を塞ぎました。

米太郎を保護した時と、まったく同じことを思いました。

放射能、野生動物、空腹、暑さと寒さ。
その猫が暮らしていたのは、人のいない生と死の境界のような場所。
ここでは猫は弱者です。

「おおきなおせわです」、と思われてるかもしれません。
しかし、これも何かの縁です。
よろしくね。
あなたが当たり前のある暮らしを手に入れられるまで、僕が責任を持ちます。

 

捕獲箱の中で暴れる元気のよい子。
先が思いやられます・・・・・・

その後、動物病院で女の子と判明し「いね」と名づけました。
男の子なら「餅太郎」と名づけるつもりでした。

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「0.58マイクロシーベルト毎時」
除染が終わっても、人が住めるとされる「0.23」の倍以上の放射能レベルです。

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家屋から10mの範囲だけ伐採された森。

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当たり前につづくはずだった営みは、目に見えぬ汚染物質に蝕まれ時計の針を止めました。

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いねも米太郎もこの納屋で身を守っていました。

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米太郎を保護した日と同じように、陽射しがいねの門出を祝ってくれているようでした。

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捕獲箱の中で息を潜めるいねとともに、ダイクの待つ工務店と呼ばれる餌場に向かいます。

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つづく

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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