14/12/14 飯舘村レポート4:当たり前ではない
■工務店
「ダイク」は、この日も姿を見せず。
10月にボランティアの前に姿をあらわしたのを最後に生存を確認できていません。
彼の最新の痕跡は、除染作業員が「茶色の猫がいる」と言っていたらしいこと。
最後に彼にあったのは7月13日。それまでは、訪れれば必ずご飯を催促していました。
給餌ボックスは野生動物に荒らされることが増え、更に除染作業が続いていたことで、ここで暮らしづらくなっていたのは確か。
この日はドライフードが程よく残っていました。ダイクのほかにキジトラも居ついています。
■ボックス21
最新のまだお型給餌台。ボランティアの「まだお」さんが、村に毎日のように通う「日比」さんの監視カメラのデータをもとに、野生動物対策を重ねています。
猫のご飯は守られていました。野生動物の欲求をかいくぐるのは難しいこと、この状態が長く続くことを願います。
■サロン
ここも猫のごはんが残っていました。
周辺の除染がはじまり、猫が集まってきています。多くの猫の胃袋を満たす大切なえさ場です。
遠からず近からずの面々。別に何もしないのに、隠れ気味なのが愛らしくさえあります。
みんなより少し怖がり、でも「おれもー、おれもー」と遠くから催促する姿がキュートで、おれもと呼びたい衝動を抑えられませんでした。
この日も「おれもー」
■葉たばこ
高いところにサビ猫。気が強いらしい…この子がいると他の猫が姿を見せません。
除染の風景
あともう一軒どうしても行きたい場所があります。
■うたちゃん
うたちゃんは、家で暮らす「すみ」「おたべ」「のりこ」「ふく」のお母さん。
2012年2月に出会い、3年近い付き合いになります。
車に乗ってくるほどお腹を空かせていたのを、はじめて見ました。
人の住んでいない地では、一日2回の食事は特別なこと。
ご飯を野生動物に奪われ、空腹に耐えるのは日常茶飯事。
当たり前が当たり前でないことに気づくのは、失ってからなのかもしれません。
うたちゃんを過剰に擬人化するつもりはありません。
しかし、当たり前が失われた地で4年近い時間を過ごしてきた彼女が何も感じていないとは思えません。
寂しさ、空腹、寒さ、野生動物の脅威、
過酷な環境の中を生き続けてもなお、彼女は人への親愛を失わずに向かってきます。
今を生み出したのは、人です。
今は人の総意が現実化したものだと思っています。
時間を巻き戻すことはできません。
しかし、未来は人の意志でつくることができるはず。
人への親愛を失わずにいてくれる命のために、この地に生きる命のために、何ができるのか。
改めて自分に問いたいと思います。
うたちゃん、またね。
うたちゃんが当たり前に会える存在でないことを、改めて胸に刻みます。
[おわり]
飯館村を後にして、日比さんのお宅にお邪魔したました。
日比さんとともに飯舘村に通う奥様の手料理をたらふくいただき、お風呂にも入らせていただき、あたたかいコタツで仮眠…
愛犬のあいちゃんはぬいぐるみのようでした。
飯舘村で保護された猫のイブとも会えました。
ありがとうございました。
次の日、飯舘村に入るボランティアの「野口」さんもいらしていて、バトンタッチ。
一日も早く、「あの頃はね・・・・・・」と思い出話ができる日が来ますように。
最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。
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