一年前
もう数日過ぎてしまいましたが、今や家でのんきに暮らす黒白四姉弟と出会って一年になりました。
一年前、あいつらはまだ飯舘村で暮らしていました。
初めて会った日のふくちゃん。僕の姿を見るやダッシュで逃走、身を隠しました。
一年経って思うのは、「あいつらを家に連れてきてよかったな」ということです。
前に少しだけあいつらの話をブログに書いたのですが、尻切れトンボになってしまったので、近々改めて書きたいと思います。
今のあいつらを見ていると、「家に来てよかったニャン」と思っているはず…と感じます。
どうだろう?すみちゃん、おたべちゃん、のりこちゃん、ふくふく。
まぁそれは一緒に暮らす僕の主観でしかないのですが、少なくとも心を開いてくれたし、毎日楽しそうに暮らしています。
最近のふくちゃん。ちょび髭は隠しているけど、ボディは無防備(笑)
もしあのまま飯舘村にいても、人と深く関わることがなくても、もしかしたら違う形で楽しく暮らし、違う形での幸せを感じることができていたのかもしれません。
でも僕は、猫に関しては人と一緒に暮らしながら幸せを感じるほうが、より良いと思うのです。
だって、人と幸せに暮らしている猫は、表情が優しくなるじゃないですか。
僕は、人生において「どれだけ優しくなれるか」をテーマのひとつにしています。
結婚したり、大切な友人ができたり、猫が家族になったり、猫家族が13匹になったり…
周りに大切な存在が増えるほど、優しくなるチャンスも増えてきたように思うのです。
猫族だって同じじゃないのかな、なんて思います。
毎日生きることに必死な状況に置かれていたら、優しさや愛情を受け入れる余裕もないだろうし…
人と接することで、より多くの様々な感情を感じる機会が得られるのだと思うのです。
そういった経験の中で、猫たちも少しずつ優しく心豊かになり、それが表情に現れてくるのだと思います。
まぁ、あいつらは寝ている僕の股間の上にダイブしてきて優しくない時もありますし、「カリカリじゃない!缶詰がいい」とか不満を言ってみたりもしますけどね。
でも、撫でてあげるとあのザラザラの舌で僕のことを舐めてくれたり、少しずつ優しさを身につけつつあるのではないかと思います。
「あ、それは単なる猫の習性だよ」とか言われるかもしれませんが、とはいえ嫌いな人をナメることはあっても、舐めたりはしないと思います。
家での生活を送る中で、少しずつ魂を成長させているのだろうと思うのです。
ええ、ただ単に僕がそう思うだけなのですが。
あ、あとアレだ、のりこは食べ過ぎで体もぷくぷく成長しすぎだとも思いますね。
ちょっと、家の猫の話をしすぎましたかね…
親ばかですから、お許し下さい。
一年という時間が長いのか短いのか、よくわかりません。
楽しければあっという間でしょうし、辛ければ何倍もの長さに感じるものかもしれません。
一年前に飯舘村で会った犬猫たちを簡単にご紹介します。
みんなそれぞれの時間を過ごしてきました。
みんなそれぞれに少なからず辛い思いをしてきたことを知りました。
しかし、同時に人の力で彼らの未来を変えられることも知りました。
3.11後の世界は今もなお続いています。
まだまだできることはたくさんあります。
山の上で暮らしていた「ジロ」
飼い主さんの希望により里子に出て、現在は神奈川県で新しい家族と暮らしています。
当初は怯えて小屋から出て来なかったジロですが、訪問を重ねるうちにこの笑顔に!
山の上で暮らしていた「チロ」
現在は神奈川県内の預かりさん宅で、新しい家族が現れるのを待っています。
飼い主さんにかわいがられて育ったチロも、原発事故後の人のいない世界で笑顔を失っていました。しかし、彼も動物ボランティアが訪問を重ねるうちにかわいい笑顔を取り戻してくれました。
すきあらば抱きついてくる超人懐っこワンコ「ライト」くん。
避難生活で満足にかわいがることができないため、飼い主さんが里子に出すことを決心。夏に新しい家族と出会うことができました。
家の黒白四姉弟のお母さん「うた」ちゃん
不妊手術をすませ、今も飯舘村で暮らしています。人懐っこい性格で、動物ボランティアの間でも人気者。
村の南部で何度か出会った妊娠していた雌猫。いつもお腹を空かせていました。
飼い猫なのか野良なのか、それさえもわからず保護できずにいるうちに姿を消してしまいました。
後になって、飼い猫であることがわかりましたが、それは彼女がこの世を去ってしばらく時間が経ってからのことでした。
子犬兄弟。不妊去勢が浸透していない村では、住人の避難後も新しい命が生まれ続けています。
この子たちは里親さんが見つかりましたが、新しい命が生まれ続ける限り被災地の犬猫の問題のゴールは見えません。
村の南部で暮らす「マメ」
週に何度か飼い主のおじいちゃんに会えることを楽しみに、今も飯舘村で暮らしています。
僕らが毎日生きているのと同じように、彼らもまた同じ空の下で生きています。
頻繁には飯舘村を訪れることができずにいますが、今からの一年も彼らのことを気に留めながら日々を過ごしていきたいと思います。
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