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雪にうもれた村 その1

2月18日、飯舘村に行ってきました。
はじめて村を訪れてからちょうど2年になりました。
そしてこの日、2年間で村の犬猫にとってもっとも厳しい光景を見ることになりました。

東日本に大きな被害をもたらしている、2月14日から15日にかけての大雪。
各地で観測史上最大の積雪量を記録しましたが、飯舘村も「70年暮らしているが、こんなのはじめてだ」と村民が話すほどの大雪に見舞われました。

出発前に「もしかしたら犬や猫の死を目の当たりにするかもしれない」と恐れを感じたのは、はじめてのこと。
これまで3年ちかく生き抜いてきた彼らの生きる力に望みをもっていましたが・・・不安をぬぐいさることはできません。
人が住むことができない村では、いつ何が起こってもおかしくありません。
しかし、今回はずっと続いている放射能災害のうえに、大雪という自然災害が重くのしかかった緊急事態。

道は閉ざされ、飼い主もボランティアも村に入れず、そこにあった食べ物を食べ尽くしてしまえば空腹に耐えるしかありません。
積雪で犬小屋が埋まったり、寝床への通路が遮断されてしまえば、真夜中の厳しい寒さをしのぐすべもなくなります。
人の入れない時間が長引くほど、犬猫たちの命の危険は増すばかり。
すでに村が閉ざされて3日が過ぎていました。

16日の段階では、飯舘村に通じる道はすべて通行止め、それどころか東京から福島へ通じる高速道路や福島県内の一般道路の多くも通行止め、現地に辿り着くことさえできそうにない状況でした。

村がいったいどのようになっているのか、18日は飯舘村に入れるのかとヤキモキしていた僕にとって、17日にボランティア2組が飯舘村に入れたという情報は大きな勇気を与えてくれました。
しかし、村に入ったHさんによれば、村内の除雪ははじまったばかりで主要な道路の一部だけ、ほとんどは車一台分の幅、敷地内はまったくの手付かず。
かんじきやスノーシューなどの装備がなければ、犬や猫が暮らす場所まで辿り着くのさえ難しい状況であるとのこと。

しかし、たとえ多くのことができないとしても、道が通じているならば行かないという選択肢はありません。装備は現地でなんとかすることにし、とにかく飯舘村へ向かうことに決め出発。

浅草到着@1:30
今回も「チーム銀次」での飯舘訪問、Izumiさんと合流。

浅草出発@2:00
東北道を福島へ向け北上。

最初に目指したのは福島市内のディスカウントストア。
かんじきやスノーシューはなくても、子供用のおもちゃのスキーくらいは売ってるに違いない。
少し遠回りになるけれど、早く装備が手に入ればそれだけ早く飯舘村に向かうことができます。

福島市内に到着@5:30(だいたい)

ささやかな期待を胸に店の入口へ。
「2月17日は19時閉店。棚卸しのため」とな・・・なぜ2月17日に棚卸しなの。
あまりの意外性にショックはゼロ、むしろ笑えた。
次は行く前に電話して確認しろオレ(なんで思いつかなかったんだ)

あきらめて、飯舘村の最寄りのホームセンターがある川俣町まで移動して仮眠。
さっきまで眼だけは冴えわたっていたのが不思議なほどグッスリ。

ホームセンター開店@9:30
子供用のおもちゃのスキーが売ってました。
やったね!

そして、いよいよ飯舘村に到着。
まだ犬猫たちの安否がまったく確認できていないという北部へ向けて進みます。

高い雪の壁の間にのびる白い道は一車線しかありません。
通行量もごくわずかのようで、正直このまま進んで大丈夫なのかと不安がよぎります。

何度か長い距離をバックして、ところどころに作られた退避スペースや交差点を利用して対向車を交わしながら、最初のお宅近くに到着。@10:30頃

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自動販売機の高さは183cmだそうです。(Izumiさん調べ)

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北へ向かって除雪車が進んで行きました。
「なんとか少しでも早く道を切り開いてください」

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退避スペースに車を停め、50mほど歩いて到着した目的のお宅の敷地内はまったくの手付かず。
除雪で避けられた雪の壁は1mを越す高さ。

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人の気配に気づいた猫が姿を見せてくれました。
「生きていてくれて、ありがとう」

早くご飯を食べさせてあげたいのですが、厚く降り積もった雪に行く手を阻まれます。
こども用のスキーをはいても、ズボッズボッとなかなか進まない・・・

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と思ったら、Izumiさんはたまにズボッとしながらも意外とスイスイ。

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やっと追いついた頃には、うまうま銀次メシができあがってました。
キジトラちゃんもうれしそう。
よかったね。
餌場のドライフードも多めに補充。
また来るから、生き延びるんだよ。

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苦戦のあと。

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車に戻り、次のお宅へ向かうためにキジトラの家の前を通ると、茶トラがヒョコ。
うまうま銀次メシを追加@11:20
いつもは10~15分で終わる一軒に50分・・・

 

「木(モク・仮)」、「林(ハヤシ・仮)」、「森(モリ・仮)」の3頭の犬と「チーズ」、「キジシロくん」、「ハナちゃん」他猫たくさんのお宅が次の目的地。
犬小屋が埋まったり潰れたりしていないか、犬たちが無事でいるかと心配で、Izumiさんがどうしても行きたいと言っていたお宅。

1km手前で除雪作業中、一時停止。
この先の家の犬猫に餌をあげに行きたいのですが、と話しかけてみると、
「さっきそこまで二人を送って行ったよ」とのこと。
すでに別のボランティアチームが徒歩で入っているようでした。
「道は悪いけど、通れないことはないよ」ということなので、迷わず通していただきます。
ありがとうございます。
除雪をよろしくお願いします。

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ヒョコ
林(仮)くん、生きてた!
枝が邪魔しているけどいいのいいの!うれしいから撮りましたよ。

生きていてくれて、本当によかった。
今回ばかりは埋もれて息絶えた犬を掘り起こす覚悟をしていたから、Izumiさんも僕も。

お父さんがショベルカーで除雪中。
お父さんも大雪に閉じ込められてしまっていたそうです。
お父さんがいたから、みんな生き延びられたんだね!本当によかった。

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黒猫もヒョコ!

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なっこい組のキジシロくん登場!テケテケ。

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チワッ

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メシ前ゴロ

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餌場に続く無数の猫の足跡。
みんな生きようとがんばっていたんだね。

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銀次メシのトッピング狙いのキジシロくん。
「焼かつおくれ~」
あかんよ。

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木(仮)も生きていた!

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(撮影:Izumiさん)
犬小屋は埋もれてしまっていたけれど・・・よくがんばってるね。

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雪かき林(仮)
こんな状況でも喜びの姿を見せてくれる、命のたくましさ。ありがとう。

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森(仮)くんも大喜びで迎えてくれました。
小屋は半分埋まり、動ける場所も狭くなってしまっていたけど、がんばってくれてました!

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仲良しのIzumiさんにおやつをねだる。
いつも通りの姿が見られるありがたさを噛み締めます。

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おかわり求む。

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やったね!

みんなが生きていたことで、ほんの少しだけ心のおもりが軽くなりました。
しかし、いつもはすぐに寄ってくる猫のチーズの姿が見えなかったことが心配。

つづく

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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