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17/1/1 飯舘村犬猫レポート1 待ちわびる猫

 

あけましておめでとうございます。

時速100キロで年をまたぎ、元旦は原発被災地・福島県飯舘村(いいたてむら)で暮らす犬猫たちに会いに行ってきました。
東日本大震災、福島第1原発事故から6年目のお正月、飯舘村の住人は避難したままです。
村の様子はどんなだろうか?自分の目で見て、心と体で感じてみたいと思いました。

 

朝一番、村の北部にある「虎捕山津見神社」(とらとりやまつみじんじゃ)へお参りに。
2013年に火事で拝殿が消失、2015年に再建。昨年、東京藝術大学の学生たちがオオカミの天井絵を復元したことがニュースになっていました。
早朝のため参拝客はまばらでしたが、お参りをする方たちの姿は、飯舘村で目にしたはじめてのごく当たり前の光景だったかもしれません。

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凍結のためノロノロ運転をしていると、村の中心部近くで空が明るくなってきました。

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自分の頭の整理のために、簡単に飯舘村の状況をまとめます。

宅地、農地等の除染はほぼ終わり、村内各所に積み上げられた放射性物質の入ったフレコンバックは230万個を超えます。将来は村から運び出されますが、行き先である福島原発近隣の中間貯蔵施設はまだ出来上がっていません。
今年3月に飯舘村は、一部の地域を除き避難指示が解除されます。しかし、除染で放射線量が下がったとはいえ人が安心して住めるまでになっていない場所が大部分と感じます。
2015年12月に復興庁が行った調査では、避難指示解除後に村に戻りたい(将来的な希望も含む)と考えている世帯は32.8%(未回答含む全世帯で見ると15%程度)。
戻らないとした方のほぼ半数は、山林河川の未除染と放射線量が低下していない不安を、帰村しない理由にあげています。
この調査結果を見る限り、避難解除は時期尚早、国の決定に住人の意向が反映されたとは感じられません。

▽調査結果簡易版
「住民意向調査速報版(川内村、飯舘村、双葉町)の公表について」(復興庁)
▽調査結果詳細
「飯舘村 住民意向調査 報告書」(復興庁・福島県・飯舘村)

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前回、僕が村を訪れたのは昨年2月。その時、村に1000回以上通っているボランティアの「日比」さんに伺った猫たちを取り巻く状況は以下でした。

・家屋解体によって野良猫たちの棲家が失われている。
・帰還に向け住環境整備を進める住人から、野良猫の餌場の撤去要請が増えている。
・飼い主の帰宅頻度減少によって、飼い猫のQOLが下がっている。

その後も、猫たちにとって厳しい状況は続いています。ねぐらと餌場を失った猫を保護しようとボランティアの方たちが動き、昨年10月から12月に保護された猫は70を超えます。
この日も、日比さんご夫妻と「一般社団法人民間災害時動物救済本部(CDCA)」のnatsumintさんと岸本さんが、給餌に保護にと奔走されていました。

この動きに合わせ、猫たちの保護先が求められています。

【緊急】!猫の保護先 緊急大募集!【拡散希望】(福猫舎のブログより)

僕も飯舘村で猫を保護し譲渡した経験があります。
どの猫も今や人の家族として宝物のように輝いています。
まだ飯舘村に残っている猫たちも、同じ魅力を秘めているのは間違いありません。
猫の世界を変えられる力を私たちは持っています。
上記、福猫舎ブログにぜひ目を通してみて下さい。

 

 

さて、初日の出を写真に収めた僕は、「うた」ちゃんの家を訪れました。
今は「うたモドキ」くんが居着いています。姿を現さなかったため、また後で立ち寄ることに。
それにしても寒い・・・・・・

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飼い主の避難後4年、うたちゃんはこの地で生き抜きました。そして、今は新しい家族と暮らしています。
しばし、回想。

2014年12月撮影
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『サロン』と呼ばれる餌場へ。
餌場のあった牛舎がまるごと無くなっていました。猫は姿を見せず。
アライグマかアナグマかわかりませんが、給餌ボックスがひとつ荒らされていました。

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『葉たばこ』と呼ばれる餌場。
「ご飯来ましたよ」
ひっそり佇む餌台に話しかけていると・・・・・・

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「ギャアー」
「富士子」と「コテツ(元雷蔵)」のお母さんキジトラ。
確か以前は人の姿を見ると走り去ってしまう猫だったはず。
人との距離をだいぶ縮めてくれたんですね。
そう言えば、この子には名前が付いていないような気がします。
たば子、葉子、ハコ・・・・・・いいのを思いついたら日比さんに申請してみようかと思います。

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表情も感情も豊かですね。

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抱きついてくるのか?

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スキを見て撫でようと試みましたが、僕のリーチを完全に見切られました。

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触りたくなりますよね。

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そぉーっと近づきましたが、すぐバレました。
パウチ2袋と焼きかつおをたいらげ、満足そうに見えたキジトラ母でした。
気丈そうに見えますが、彼女が人の訪問を楽しみにしているのは間違いなさそうです。

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『小春の家』

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サビ猫と三毛猫が棲み着いている餌場。
ドライフードを補充していると、カラスの鳴き声が響き渡ります。

猫たちはまだ夢の中かなと思っていたら、とっくにスタンバイしていました。
物静かなサビ猫。

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陽気そうな三毛猫。
少し近づいただけでダッシュで逃走していた記憶。しかし、この日は望遠レンズの前とは言え、リラックスした姿を見せてくれました。

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墨の入れ方を失敗した風。

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わざわざ飛び猫、避ければいいのに。

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この餌場では、過去に怪我をして亡くなった猫がいます。
愛嬌の塊に魅入っていると、ふと現実を忘れてしまう瞬間があります。
しかし、この地は今日会えた命に、次にまた会える補償のない世界です。
久しぶりに訪れた飯舘村では、相変わらず猫たちは人の訪問を待ちわびていました。

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つづく⇒「17/1/1 飯舘村犬猫レポート2 犬・白猫銀座・太陽」

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  1. きのこ

    2017年早々に飯舘村に行かれたのですね、ご苦労様です。待っているネコたち、健気で可愛い、悲しい、辛いです。ありがとうございます。
    我が家の外ネコも、この寒さ、夜にはお古のセーターの敷物を敷いたハッポウスチロールのハウスに寝ていましたが、陽が高くなると、見回りか美味しい餌を探してか、でかけます。
    捕獲器を失敗してしまい、もう使えないし….私の病気の手足では、本当に無理で、寒さを乗り越え頑張って….と願うしかありません。

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