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飯舘村の猫マメの幸せについて

原発事故による放射能汚染で、人が住めなくなってしまった福島県飯舘村に「マメ」は暮らしていました。
マメは4年近いひとり暮らしの末、怪我を機にボランティアに保護され、シェルター暮らしの身となりました。
そして、この春から新しい家族との暮らしをはじめるそうです。

マメが命の脅威から解放されたのは、よろこばしいことです。
マメが里子に出ると聞き、僕は飼い主のおじいちゃんの心中に思いをはせました。
飼い主のマメへの愛情に敬意を表するしかありません。

マメの保護から里親募集まで、僕は何もしていません。
3年ほどマメを撮影してきましたが、僕はマメに何の変化ももたらせませんでした。
僕のできなかったことをしてくださった方たちに、差し出がましいですが感謝いたします。
ありがとうございました。

マメとの出会いで、僕は村の猫について考えさせられました。
2012年6月に別ブログに掲載した記事を、加筆修正のうえここに再掲させていただきます。
被災地の犬猫について考える一助にしていただけましたら幸いです。

 

 

福島県飯館村にマメという名の猫が暮らしています。
犬猫に給餌をしながら撮影をしていますが、マメは特に気になる存在です。

何度か会ううちに、自分から寄ってきてお腹を見せるようになりました。
マメを見ていると、飼い主に愛されていたのが伝わってきます。

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飯舘村は、東京電力福島第一原発の爆発事故により放射性物質に汚染されました。
2011年4月に計画的避難区域に指定され、その後すべての村民が避難しました。
以降、立ち入りはできるものの、居住は禁止されています。

しかし、住人が避難した後も、多くの犬や猫たちが村で暮らし続けています。

避難先の仮設住宅でペットとの共生が認められていないためです。
避難から1年以上が経っても状況が変わらないのは、行政が動物の保護や避難に積極的ではない現れと僕は考えています。

マメが暮らしているのは、村の中でも放射能汚染の酷い地域です。
野球場より広い敷地で、ほとんどの時間をマメはひとりで過ごしています。
人が暮らさぬ家から明かりが漏れることはなく、陽が落ちればあたりは闇に包まれます。

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マメに会った当初、こんなに人好きな猫がずっとひとりで寂しい思いをしているのは可哀想だ、すぐにでも保護したいと考えていました。

しかし、飼い主のおじいちゃんにお会いして以来、考えが揺れています。

おじいちゃんは83歳。
福島市内の避難先から、数日おきにスクーターに乗って1時間ほどの道のりを経て、村に戻っています。

おじいちゃんの滞在中、マメはずっとおじいちゃんの側にいました。
おじいちゃんは、マメにやさしい眼差しを向けていました。

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震災前、おじいちゃんは大根の栽培していました。
戦後この地に移り住み、長い時間をかけ開拓してきた土地です。

おじいちゃんは、「シーベルトとかベクレルとか、よくわかんね」と自宅敷地内で放射線量の計測はしていないそうです。
しかし、隣家の農地では10マイクロシーベルト超が計測されています。

近い将来、家屋の除染が行われる予定で、現在の計画では「家屋と周辺20m」が対象となっています。
しかし、宅地や農地を除染しても、村の約75%を占める山林から再び放射性物質が飛来するだろうと、除染の効果を疑問視する人は少なくありません。

そして、農業、畜産、酪農など土地に根付き暮らしてきた村民が多く、仮に放射線量が下がったとしても、「風評被害で売れない」という声も耳にします。

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現在の放射線量を考えると、おじいちゃんの避難生活は、まだ当分のあいだ続くことになります。
マメもひとりぼっちで過ごす日々に、まだしばらく耐えなければなりません。

おじいちゃんの一時帰宅の負担やマメの気持ちを思えば、マメを保護するのもひとつの考えだと思います。

しかし一方で、おじいちゃんとマメの絆を思えば、引き離すのが果たしてマメの幸せなのかとも考えてしまいます。

答えのでない疑問を前にすると、飯舘村が放射性物質に汚染されなければ、おじいちゃんもマメも寂しい思いをしなくてすんだのに、原発事故がなければ、原発がなければよかったのに、との思いに至らずにはいられません。

原発事故から一年以上が経った今も、放射能汚染で長い時間をかけ築いた生活を壊され、辛い思いをしている人や動物がたくさんいます。

このことを忘れずに、今自分にできることをやり、未来について考えていきたいと思います。
少なくとも同じ過ちは繰り返してはならないと、おじいちゃんとマメのことを想うたびに感じます。

(2012.6.27)

 

 

追記(2015.3.22)

マメは氷山の一角です。
震災、原発事故から時間が経てば経つほど、人も犬猫も苦しくなっています。
給餌で命をつなぐ人も、保護して里親を探す人も、活動する人を支える人も不足していると感じます。

僕にできることは限られていますが、昨年12月にはじめた村の猫の保護を続けていきます。
すでに猫を預かってくださった方がいますが、今後目の届く範囲で活動を広げることも考えています。
猫を預かってくださる方を募集するかもしれませんので、その際はご協力をお願い致します。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
またのお付き合いを、よろしくお願いいたします。

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